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地方の24歳シングルマザーは、なぜ東京で起業し、年収1400万円を実現できたのか?

文=編集部
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地方の24歳シングルマザーは、なぜ東京で起業し、年収1400万円を実現できたのか?の画像1株式会社CREATO社長の金田貴子氏(撮影=名和真紀子)

「中小企業挑戦支援法」が施行され、資本金が1円でも起業できるようになった2003年から10年がたち、女性の独立起業を支援する企業も増え、メディアなどでも「女性の起業」がクローズアップされることが多くなった。

 そこで今回は、24歳で離婚しシングルマザーとなったのち、個人事業としてファインメイクサロンを岡山県で開業し、事業を軌道に乗せ、3年半前に上京して法人化させたことで現在は年収1400万円となった株式会社CREATO社長、金田貴子氏に、

「ゼロから起業し、成功した秘訣とは?」
「企業経営にとって一番大切なのは、家族を大切にすること?」
「働く時間と収入増は比例関係にはない?」
「妄想をかき立てることで仕事をうまくいかせることができる?」
「シングルマザーが豊かな人生を送るためには?」

などについて聞いた。

–まず、起業されたきっかけを教えてください。

金田貴子氏(以下、金田) 21歳で結婚し、24歳で離婚した時、今後は両親にお世話になるのではなく、自立した女性になっていきたい、そしてしっかりと娘を育てたいと思い、職探しを始めました。しかし、どの企業でも「子供の体調などで急に休んだり、早退されるのはちょっと困るから」と、採用してくれるところは皆無でした。また、当時一般職の給料は岡山県では13万円くらいが相場で、その給料で娘を育てていくのはかなり苦しい。シングルマザーで子育てをしながら就職して働くことは時間的にも、経済的にも難しいという現実に直面し、「もっと時間的にも、経済的にもゆとりを持って豊かな生活を送りたいなら、自分で何かを始めるしかない」と思いました。

 起業して頑張れば収入は青天井といっても、うまくいかなければ収入がゼロということもあるわけですが、当時は「もし稼げなかったらどうしよう」とネガティブには考えず、とにかく前を向いて進むしかないと思っていました。そして、 生活のため、生きるためというとても現実的な理由で、ファインメイクサロンを開業したわけです。

–いきなりゼロからの起業は、大変だったのではないでしょうか?

金田 たしかに大変でした。安直に何かを始めようと考えたわけではないのです。実は、父は建設会社を、母は飲食店を経営しており、身近に経営者が2人もいる家庭で育ったため、私自身はそれまで経営について勉強したことはありませんでしたが、事業をするということはどういうことか、会社経営とはどういうものか、そういうことを小さい時から肌で感じていました。

–ご両親も応援してくれたのですか?

金田 いいえ。父親は大反対でした。父には、「税理士の資格を取って実家の会社で働くのはどうだろうか。子育て優先で働けば良い」と言われましたが、デスクワークの仕事よりも、大好きな美容を通してお客様と接する仕事をやってみたいと思ったのです。

 実は結婚を決めた時も両親には最初反対されました。土地柄でしょうか、19歳や20歳で結婚する友達が多く、私は、早く結婚して若いママになりたいという思いがとても強かったのです。若いパパとママ、そして生まれたばかりの赤ちゃんがいる、そういう本当に絵に描いたような幸せな光景を見て、とてもうらやましく感じていました。そこで、2~3年交際していた彼との結婚を決意して両親に話したところ、「お互いにまだ若いし、もう少し社会経験を積んでからでもいいんじゃないか」と言われました。でも若さゆえの勢いで「大丈夫です!」と両親を説得して結婚し、22歳の時に娘を出産しました。

 しかし、24歳のときに離婚しました。先ほども言ったように、若いママになりたくて結婚したわけで、本来結婚とはスタートなのに、私にとってはそこがゴールになっていたということです。ですから、結婚したことで一番大きな願いがかなってしまい、結婚の先にある家族3人の未来を思い描くことができなかったわけです。そして、このまま結婚生活を続けていてもお互いに幸せなのか、このままの人生で終わってしまっていいのかと考えるようになり、夫と話し合った末、シングルマザーとして生きていくことを決意しました。

–自宅サロンの開業の時には、どのような苦労をされましたか?

金田 紆余曲折いろいろありました。離婚して半年後には個人事業でサロンをはじめていました。しかし、開業まで順調に進んだかというとまったくそうではありませんでした。先ほどもお伝えしたように、父の猛反対がありました。父は「ファインメイク」という美容技術もビジネスモデルも知らなかったので、幼い子供を一人で育てながら、そのような仕事で生活を成り立たせるのは難しいと感じたようでした。当時はものすごい剣幕で反対されました。

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 唯一の理解者であった、母のサポートを受けながら約半年間、大阪まで技術の習得に通いました。金銭面もなんとかやりくりしながら生活し、私の粘りと根性で父の反対を押し切り、個人事業の開業までたどり着けました。そのように、猛反対していた父ですが、事業が少しずつ軌道に乗り結果が出始めると安心したようで、今では良き理解者として応援してくれています。

 また、最初は家賃を払ってサロンを開くほどの資金的余裕はありませんでしたので、父が経営している建設会社の事務所内で物置にしていた一室を借り、自宅サロンならぬ、“事務所サロン”を開業したのです。改装費用もなかったので、床はフローリングシートを買ってきて自分で貼りました。サロンはほぼ自分の手づくりからスタートしたのです。何もないから自分でやるしかない。「母強し」とは、きっとこのことなのでしょうね。

 そして、事業が軌道に乗ってきて月収が30万円くらいになった時に、もう少し広くて綺麗なところへ場所を移したいし、娘の小学校のことも考え、一軒家を借りてそこを住居兼サロンにしようと不動産屋さんで物件を探したのですが、20代のシングルマザーというだけで断られました。さらに、資金の相談をしようと国民政策金融公庫や銀行を訪ねた時も、20代の個人事業主であるということで、相談にもなかなか乗ってもらえませんでした。個人事業主の社会的信用が低いということもその時に理解しました。でもそれが、「もっと頑張らなければ」という原動力になったと思っています。

事業成長のターニングポイント

–そうした苦労を乗り越え、開業してから4年目の28歳の時に、月収が100万円を超えたそうですが、きっかけはなんだったのでしょうか?

金田 ある時、「今は一人仕事でも大丈夫だけれど、私が年を重ねていった時、このまま変わらずこの仕事を一人で続けていけるだろうか?」「けがなどをして働けなくなったらどうなるか?」という不安が頭をよぎったのです。そして、このままではいけないと思い、どうにかしたいけれどどうしていいかわからずに悶々としていた時に、同郷の先輩から、現在私がビジネスの師匠と仰ぐ方を紹介してくださったのです。

 この師匠との出会いが、まさに私の人生のターニングポイントになりました。私は師匠の講座を受講したことをきっかけに、教えていただいたことを素直に、そしてすぐに実践してみようと思いました。

 例えば、月収40万円からさらに事業を拡大しようとすると、人を雇い入れてお店の回転率を上げるということで月収を増やすこともできたと思いますが、人材育成についても知らずに雇っても、人間関係で失敗するのではないかと思い躊躇していました。あるいは、立地のいい場所に移るとか、メニューを変えてみるとか、そういう方法もあったかもしれません。

 しかし、師匠からのアドバイスは、私が事業拡大のために思いつくことと真逆のことだったのです。目からウロコとはこのことです。それは、「仕事を優先させ、予約を無理に入れて疲れた顔で働かないこと。家族のことをもっと大切にして、娘との時間もちゃんと取って生活とのバランスを考えなさい」ということでした。

–家族を大切にすることが、なぜ事業拡大に結びついたのですか?

金田 一言で言えば、「それまで闇雲に働き過ぎだった」ということです。つまり、事業主であれば、働く時間と収入増は単純な比例関係にはないということです。

 私にとってお客様はとても大切ですから、お客様に「仕事が終わった夜9時にしか行けない」と言われると、「何時でもいいので来てください」と答えてしまうわけですね。しかし、頑張れば収入は増えるけれども、娘に手料理をつくる時間もないし、一緒に食べる時間もない。仕事が終わって帰ると、娘は寝ている。娘を育てていくために一生懸命働いているけれども、これで本当に幸せなのだろうか、という疑問を抱いていました。

 そこで師匠のアドバイスのもと、夜6時以降の予約は取らないことにし、完全週休2日制にしました。そして、師匠の講座を受講したわずか3カ月後に、父の会社の物置を借りた事務所サロンで月収100万円を得ることができました。営業時間が長ければ、たくさんお客様が来て売り上げが上がるというわけではないことを学びました。

 やはり目指す人、憧れる人(ロールモデル)を持つというのは、すごく大事だと思いますね。そして、その人に教えてもらったことを素直に実践する、それに尽きると思います。私は個人事業から、株式会社として法人化もしたいという思いもあったので、そこについても具体的なアドバイスを頂きました。

–事業が成長し、金田さんは3年半前に上京し、事業を株式会社として法人化されましたが、きっかけはなんだったのでしょうか?

金田 あるとき師匠から、「どうしてずっと岡山にいるの?」と聞かれ愕然とし、その質問に答えられなかったのです。

 師匠のアドバイスは、「事業を大きくしたいと思っているなら、日本の中心の東京で大きく羽ばたいてみたらどう?」ということでした。そして、上京を機に「いつまでも美しく健やかに輝き続けたい人々のために幸せな生き方を創造し、貢献していきたい」という創業理念のもと、平成23年4月に個人事業を法人成りさせ「株式会社CREATO(クレアート)」を設立しました。東京には知り合いは誰もいなかったので、とにかく師匠に教えてもらったことを実践あるのみでした。

生き方から仕事を選ぶ

–東京進出から3年半の現在、会社は成長を続け、金田さんの年収は1400万円に上るそうですが、まったくゼロから東京で起業して、これまで順調に事業を成長させることができた理由はなんだとお考えでしょうか?

地方の24歳シングルマザーは、なぜ東京で起業し、年収1400万円を実現できたのか?の画像3

金田 師匠からはもちろんハードについてもアドバイスは頂きますが、師匠が重要視しているのはソフトの部分、つまり自分の心のあり方、家族との関わり方、世の中との関わり方など、そういうことの教えが、一番大きかったと思います。

 多くの方が一日の大半を仕事に費やしていると思いますが、仕事の中に生活があり、仕事の中に人生があると考えていませんか? でも、そうではなくて、生きるという人生の中で、自分はこうなりたい、こういう生き方をしたいということがあって、そこから職業、職種を選ぶ、そういう考え方が大事だと師匠に言われました。

 こうした教えやノウハウは、当社が運営する「フォルトゥーナアカデミー」の講座の中で私が学んで実践し成功したこと等を惜しみなく具体的に紹介しています。この講座は、受講生との対話を大切にしています。受講生が何を望み、どうなりたくて、どんな想いで受講しているのかを私どももしっかりと理解したいと考えております。そのため、一度の受講生の人数を最大8名までとさせていただいております。

–会社経営において、特に重要視していることはなんでしょうか?

金田 こちらも師匠からの学びですが、言っていることと行いを一致させること、つまり「言行一致」ですね。どこかでごまかしたり、妥協してしまうことがあると思います。それはビジネスだけでなく、娘との生活においても同じことを心がけています。例えば、今日洗濯するといったら洗濯する、掃除機をかけるといったら掃除機をかける、そういう単純なことでも言ったことはきちんと実行する、「約束は守る」ことが大切だと思っています。それから、ビジネスでもプライベートでも、人と人との信頼関係をとても大事にしています。

–今後の事業展開についてお聞かせください。

金田 引き続き、女性の独立起業支援に力を入れていきます。ある調査によると、シングルマザーの方々の平均年収は200万円を切っているそうです。つまり、生活するだけで精いっぱいで、夢を叶えるとか豊かな人生を送るというような、本来の人生の醍醐味を味わう余裕がないというのが現実だと思います。

 しかし、昔の私のように、自分の人生を謳歌したい、もっと豊かになりたいと思いながら単にその方法を知らないだけかもしれません。私自身が師匠(真の成功者)から教えてもらって実践して成功したこと、よかったこと、うまくいったことなどを、人生を今よりもっと前向きに幸せに生きていきたいという向上心のある方たちにお伝えしていきたいと思っています。そして世の中のシングルマザーたちに、もっと強く美しく、しなやかに生きてもらいたいのです。

–仕事をうまくいかせるために、金田さんは日頃から「周囲にいるお気に入りの男性たちで、思い切り想像させてもらう」とおっしゃっていますが、どういう意味でしょうか?

金田 嬉しさ、喜びの先取り体験ということです。自分が幸せだ、楽しい、嬉しいと感じていなければ、ほかの人を幸せにはできないと思います。それは子育てをしていても同じです。シングルマザーの方々は、「自分を犠牲にしてでも子どもを育てなければ」と歯を食いしばって頑張ってしまいがちです。もちろん「子どものため」も大切なのですが、子どもをきちんと育てて幸せにするには、まず自分自身が幸せで、豊かであることです。自分の脳の想像力が創造力へと繋がるのです。

 つまり、自分の脳の想像力を活性化させる、平たく言えば、いかに妄想力をたくましくするか、ということです。例えば、異性に片想いをしている時、胸がときめきますよね。そして好意を寄せている人がいて、その人とどんなメイクやファッションでデートして、食事して、どこに遊びにいこう等と考えている時は、時間を忘れるほど楽しくないですか? そういうことを考えている時は輝いていて、とても幸せそうに見えるはずですよ。そうすると、周りも明るくなりますよね。それから、妄想で一番良い点は、無料だということです。誰にも邪魔されません(笑)

–ご自身のご経験を踏まえ、シングルマザーの方々に対して何かアドバイスはありますか?

金田 まずは、きちんと勉強してください。重要なことは、タダ(無料)の情報をかき集めないことです。現在は情報過多の時代でインターネット上でもあらゆる情報が氾濫しています。そのタダの情報に振り回されないでほしいのです。自らの時間とお金を自分自身へ投資して学ぶことで、得られることや成果は格段と大きくなります。

“学ぶ”ということをせずに「自分にはできない」「これしかできない」などと決めつけてしまうのは本当にもったいないと思います。私もそうだったのですが、みなさん知らなくて損していることが沢山あります。知らないがゆえに自分の人生の選択肢を狭めていることが、あまりにも多いのです。

 自分が知っている世界の中だけで生きていく、あるいは選ぶのではなく、もっと視野を広く持って生きていくこと、広い世界を見て知って、ご自身の可能性を最大限に活かしてほしいと思います。一度限りの人生を自分らしく思いっきり生き抜いて楽しんで、みんなで幸せになりましょう!

–ありがとうございました。
(構成=編集部)

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