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反応さまざまなあのニュースをどう読む? メディア読み比べ(10月23日)

カネボウ白斑問題、“親会社”花王の対応に賛否両論〜積極的対応にリスクの懸念も

文=blueprint
カネボウ白斑問題、“親会社”花王の対応に賛否両論〜積極的対応にリスクの懸念もの画像1「カネボウ化粧品 HP」上の「お詫びと自主回収についてのお知らせ」

 カネボウ化粧品の美白化粧品で肌がまだらに白くなる「白斑」被害が相次いでいる問題で、親会社である花王がついに事態収束に向けて動き出した。花王は10月8日、カネボウ化粧品の研究・生産部門を花王に統合すると発表。花王が親会社として関与を強めるための措置だと、各メディアが伝えている。

 9日付朝日新聞朝刊によると、統合は来年1月から順次進めていく。カネボウのブランドは維持する方針だが、将来的には販売部も一体化するなど、カネボウ化粧品は限られた業務を行う事業会社に縮小されるという。

 白斑問題の発覚から3カ月。親会社として、花王の対応は遅すぎると批判するのが9日付日本経済新聞だ。同紙は花王が自主回収などに関する記者会見をすべてカネボウ化粧品任せにして、今回の研究・生産部門統合の発表でも記者会見を開いていないと指摘。さらに、翌10日の朝刊では、花王の沢田道隆社長のインタビュー記事を掲載し、「親会社として花王は記者会見をしていない。説明責任を果たしていないのではないか」と直接問い詰めている。

 この問いに対して沢田社長は、「親がしゃしゃり出ると、子は立ち直れない」「とにかく今は被害者のことが一番で再発防止が重要だ。語る暇があれば、自分のできることをやり続けなければならない」と答え、「決して逃げ隠れしているのではない」と強調。また、今回の統合についても「白斑問題の発覚前から考えていた」と話し、親会社としての対応の遅れに対する巻き返しではないと否定している。

 花王は2006年に4100億円を投じて、カネボウ化粧品を買収。化粧品の高級ブランド戦略を担う存在として、子会社化後もカネボウ化粧品の独立性を重んじてきた。しかし、今回の白斑問題ではそれが裏目に出たことは否めないだろう。同紙は「買収効果を出し収益に貢献するどころか、他の既存事業でカネボウ化粧品を支えざるを得ない皮肉な格好だ」と指摘。統合は「重いリセットになる」と述べている。

●「市場対応」への舵切りを評価する声も

 一方で、これまでの花王の対応を評価する声もある。企業のコンプライアンスに詳しい、弁護士の郷原信郎氏は8月2日に自身のブログで、カネボウ化粧品の自主回収は「親会社の花王主導で行われたと考えられる」とした上で、「コンプライアンスの観点からは高く評価すべき企業対応ということになるであろう」と評価している。従来の化粧品会社では、ユーザーから持ち込まれたトラブルには「個別対応」するのが一般的であるのに対して、全面的な製品の自主回収という「市場対応」に乗り出したからだ。

 また、郷原氏はカネボウ化粧品が消極的な「個別対応」から、積極的な「市場対応」に大きく舵を切った背景には、もともと花王が大量流通販売が中心の生活用品を主力製品としていて、「マスとしての消費者からの直接情報提供に基づく画一的・統一的対応が中心」だったことが影響しているとも分析している。

 ただし、白斑問題と美容化粧品との因果関係、被害規模が明確になっていない今の段階で、被害者すべてに対して責任を負うと宣言するなど、積極的な市場対応には、大きなリスクが生じるとも郷原氏は指摘している。自主回収の発表後、被害者数が予想を超えて増え続けている上、白斑様症状による精神的損害や、就職・結婚・家庭生活などへの影響も含めて「被害」と捉えられることになれば、賠償の総額は莫大なものになりかねないからだ。

 また、自主回収の対象製品は台湾、香港、韓国など、海外でも販売している。「国内の『被害者』と異なった対応をすれば、国際的なトラブルに発展する可能性もある」という。親会社として花王は今後どう対応するのか、選択を迫られるシーンはますます増えそうだ。
(文=blueprint)

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総合カルチャーサイト「Real Sound(音楽・映画・テック・ブック)」の運営や、書籍や写真集の発行、オウンドメディアの制作支援など“編集”を起点に様々な事業を行っている。
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