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横浜DeNAベイ、なぜ大幅動員数増?多彩なサービスで新ファン層獲得、総合エンタメ狙う

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横浜DeNAベイ、なぜ大幅動員数増?多彩なサービスで新ファン層獲得、総合エンタメ狙うの画像1横浜スタジアムで横浜DeNAベイスターズを応援するファン

 6月17日付サイト「Number Web」配信記事『プロ野球を取り巻く厳しい経営環境。現実を直視した千葉ロッテの改革。』によると、この10年でプロ野球ファンの総数は1000万人規模で減少したという。最盛期に比べ、テレビでのプロ野球観戦率も右肩下がりを続けている状況の中、2011年にIT企業であるディー・エヌ・エー(以下、DeNA)が運営に乗り出し話題となった横浜DeNAベイスターズの取り組みが、大幅な観客動員数増や経営改善をもたらし、注目を集めている。

 例えば同球団は、野球が好きな人から野球を見たことがない人まで、さまざまな人がスタジアムに集いコミュニケーションを育むことを目指す「コミュニティボールパーク化構想」を掲げている。この構想に基づき、同球団は12年、本拠地・横浜スタジアムにおいて創業以来ともいえる球場の大改修を行い、スコアボード全面ビジョン化、コンコースのエンタテインメント化を実現した。観客席においては、一塁側と三塁側のファウルゾーンに設けられた「エキサイティング・シート」のほか、2人用、3人用の「ツイン・シート/トリプル・シート」、そして3~5人座れる「BOXシート」などの多様なシートを新たに設置。潜在的な観戦ニーズをくみ取ったこれら新席種の販売率は、9割を超えた。

 また、スタジアムの周辺でアトラクションを用意するほか、試合直前のアーティスト・ライブ開催、スタジアムの中だけで聴ける特別なラジオ番組の放送、試合終了後にグラウンドに座って映画を見る映画鑑賞会なども実施している。

●新ファン層獲得への取り組み

 DeNAに運営譲渡以前の旧ベイスターズといえば、4年連続最下位でパッとしない球団という印象だった。しかし11年12月に経営陣が替わり、翌12年には監督として中畑清氏を起用。「『良質な非常識』をコーポレートアイデンティティに掲げ、改革に取り組んでいます」と語るのは、同球団広報部の里見夏生氏と村田喜直氏である。

 基本的に、プロ野球ビジネスには以下の4つの収益源がある。

(1)チケット収入
(2)グッズ・ライセンス収入
(3)スポンサー収入
(4)放映権収入

(1)に関して、チケットが売れて球場が満員になれば、それだけ売上は増加する。今年、DeNAベイスターズではシーズン全体で142万5728人を動員、前年比で122%の増加を記録した。満員の回数も昨年の4回から飛躍的に増加し、15回を記録。チケット売上全体で見ても、前年比でおよそ129%増を達成した。

 村田氏は「既存のお客様に満足していただくことに加え、新規のお客様に会場に来ていただくための工夫を続けています」と語るが、同球団はもともとプロ野球ファンの多い中年男性層に加え、新たな見込み客として「女性」「子供」、そして「家族連れ」に焦点を当て、プロモーションを展開。その結果として、ユニークで楽しいスペシャルチケットやイベントの開催に結び付いた。

 今シーズンに同球団が販売したスペシャルチケットは52種類にも上る。その中でも、新たなターゲット層に訴求する目的のものが目立った。例えば、食事とおやつがついた家族向けチケット「ファミチケ!ピクニックパック」や、手荷物用座席と横浜名物のサンドイッチがついた女性向けチケット「女子シートプラス」などだ。

 また、ターゲット層への直接的な訴求だけでなく、話題性を生かした宣伝にも注力。横浜スタジアム特別観戦室に向かうまでリムジンでのお出迎え、ヘリコプターでの横浜クルーズ、中畑監督とのディナーからスイートルーム宿泊までついている「ファミチケ!100万円VIPパック」や、試合結果に応じた特典がついた「倍返し!チケット」などはメディアでも多く取り上げられた。
 
 チケットだけでなく、スペシャルイベントもターゲット層を意識してのものだ。4月下旬の「Family Ballpark 2013〜GWは家族でハマスタへ!〜」や、全国のご当地グルメを集めたイベントを野球の試合と合体させた「食べて勝!B食祭」(9月)などは代表的な事例だろう。

 また「神奈川県こどもデー」において、子供たちへの招待枠を拡大、昨年のおよそ1.8倍となる約3.4万人の子供たちを球場に導いた。ほかにも、県内小学校への選手訪問授業を広く行うなど、県内の子どもが野球と接する機会を増やしてきた。昨年からのこうした取り組みの結果、公式ファンクラブ「B・SPIRIT 友の会」の加入者数は昨年の約2.5倍に、キッズ会員に関しては、前年比約3.5倍という驚異的な増加に繋がった。

 こうした一連の取り組みの狙いについて里見氏は、「野球に興味がない。もしくは、興味はあるけど球場に行くほどではない、というお客様の層に少しでも興味を持ってもらいたいと考えています。また若年層は、『体験にお金を払う層』だと我々は認識しています。体験的なキャンペーン、イベントを今後も開催していきたいです」と語る。

●スポンサー収入も増加

BusinessJournal編集部

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