「Thinkstock」より
●24時間365日仕事三昧が当たり前
S氏は、現在30代前半で、ソシャゲー業界の勤務経験は2年。前職はITコンサルティング会社で金融機関向けの業務系システム開発を5年ほど行っていた。システム畑出身で、長時間労働や不規則な労働時間に慣れていたS氏だが、今は体を壊して自宅療養中で、転職を考えているとのこと。
–ソシャゲー業界に転職しようと思った、きっかけを教えてください。
S氏 人を喜ばせる楽しいものづくりがしたかったからです。前職では、金融機関の業務システム開発で、大規模なデータを扱っており、やりがいはあったのですが、面白みがなかったのです。
–金融系の開発ですか。では、年収は下がったのではないですか?
S氏 下がりました。半分くらいにはなりましたが、それでもゲームづくりの魅力が上回り、ソシャゲー業界への転職を決意しました。
–仕事環境はいかがでしたか?
S氏 ソシャゲーのサービスは24時間提供しているので、トラブルがあれば昼夜問わず呼び出されました。しかも、休日のほうがユーザーがよくプレイするので、その分、呼び出しも多くありました。
–24時間のサービスだと、運用監視専門の担当者がいるのではないですか?
S氏 もちろんいます。しかし、ゲームの仕組みがわかるのは、結局つくった本人だけなんです。1つのイベントには、担当が1人だけなので、ほとんど対応することになります。
–イベントとはなんでしょうか?
S氏 イベントというのは、通常進行のゲーム中に発生する特別なゲームのことです。イベントを進めていった先にいるボスを倒せば、アイテムがもらえたりします。
–なるほど。そんなイベントの管理で、休日も呼び出されるわけですね。ちなみに、年収が450万円くらいとのことですが、これは残業代込みということでしょうか?
S氏 そうです。ひと月当たり約50~60時間分のみなし残業代がついて、この年収でした。もちろん、この時間を超過した分は請求すれば残業代が支給されるのですが、時間外勤務を報告すれば上司が人事部から残業超過で怒られて、その上司の査定が低くなってしまうので請求させてもらえないのです。仕事の時間は先ほど述べたとおり、ほぼ24時間365日休めない状況でしたから。
–求人広告を見ると、600万円や1000万円という年収を目にしますが、Sさんくらいの成果を出していれば、これくらいもらえるのではないですか?
S氏 600万円という金額は、長年ソシャゲー業界の経験があって、かつエース級の人の採用じゃないと提示されません。私のようにシステム業界からの飛び込みであれば、350万円スタートということもあります。