鶏が先か卵が先かの話ではありませんが、現在エグゼクティブとなっている人は、高級品の長財布にしたから、その地位にたどり着いたわけではありません。エグゼクティブになったから、それなりの財布を持つようになったと考えるべきでしょう」(同)

 元経団連会長である土光敏夫氏が生きていたら、どのような財布を持ったのだろう。彼は普段の生活が質素なことで有名な名経営者である。

「穴とつぎはぎだらけの帽子を愛用していた」

「農作業用のズボンのベルト代わりに、使えなくなったネクタイを使用」

「夕飯はメザシに菜っ葉、味噌汁と、やわらかく炊いた玄米」

 このようなエピソードが残る人物に、「財布の価格×200=年収」法則は当てはまらないだろう。

 社会的にステイタスのある人は、稼ぐことの大変さを知っている。お金のありがたみも知っている上に、怖さも知っている。だからこそ、真のお金持ちほど質素な人が多いのだ。

「つい、目立ちたがり屋の金持ちに注目してしまいますが、普段目にすることができない本物のお金持ちの存在に気付くべきでしょう」(同)

●財布は使いやすいことが一番

 ちなみに、筆者も経営者の端くれであるが、今は数年前に免税店で購入した二つ折りの財布を使用している。レシート類や小銭類は入れていないものの、カード類がぎっしり詰まっており、カードでの買い物が増えているため、使った金額を把握し、明細書のチェックも怠らない。財務情報のチェックだけは欠かさないようにしている。

 今のところ、私の年収は財布の価格の200倍を優に超えている。お金が逃げていくような気配もない。

「私なんて、1万円の財布を使っていますよ。プロ野球の優勝セールで、好きな柄の財布が安く売られていたものです。法則通りだと、私の年収は200万円ですね(笑)。逆に、きれいな長財布を持った借金まみれの社長もいますよ」(同)

 財布診断にも一理あるが、そのロジックがすべての人に当てはまると考えるのは無理がある。

 お金は大切に使わなくてはいけないし、お金のありがたみを身に染みて実感することは大切だ。その点は昔から言われていることでもあるが、財布の種別との因果関係を見いだすことはできない。

 結局、財布は使いやすい形で、分相応であることが望ましいといえるだろう。

「安いスーツや靴を身に着けながら、財布だけ高級品という方がいたら、違和感を持って見られてしまいます」(同)

「財布の価格×200=年収」と考えるのではなく、「年収÷200≧財布の価格」と捉え、まずは財布の購入で無駄遣いしないことを心掛けたほうが賢明だろう。
(文=尾藤克之/経営コンサルタント)

●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。人間の内面にフォーカスしたEQメソッド導入に定評。リスクマネジメント協会「正会員認定資格HCRM」、ツヴァイ「結婚EQ診断」監修等の実績。著書に『国会議員秘書の禁断の仕事術』(こう書房)など多数。

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