●人工甘味料が引き起こす深刻な健康被害
人工甘味料でいえば、その筆頭は「アスパルテーム」「スクラロース」だろう。アスパルテームは砂糖の200倍の甘味があることから注目されたが、インスリンとレプチンの値を上昇させ、「肥満、糖尿病ほか、今日蔓延している多くの慢性病の要因」となるのだ。さらにアスパルテームにとって代わっているのが、砂糖の600倍の甘味があるスクラロースだ。
「(スクラロースは砂糖のようには)体内で炭水化物として消化・吸収されないのでカロリーはゼロであるうえ、飲料品では味を良くし、保存性を高め、乳製品では乳酸菌に影響を受けず、甘味が保たれるといった具合に、まさに万能の添加物なのです」(同書)
しかし内海医師はスクラロースを「甘いものにさらに毒を追加した不健康な物質」とし、動物実験では「成長の遅れ、赤血球の減少、甲状腺の働きの衰え、マグネシウムとリンの欠乏、肝臓・脳の肥大、肝臓細胞異常、卵巣収縮、白内障の可能性が高まる」といった結果が指摘されているのだという。
何より驚くべきは、日本の消費者庁の審査が必要な「特定保健用食品(トクホ)」であるトクホコーラにもアスパルテームが含まれているのだ。トクホの問題は「『人々を不健康にする』機関が、欺瞞丸出しで世界を破壊・支配してきた、その枝葉の話にすぎません」(同書)。
「社会毒」はパン、ファミレスなどのおかわり自由のコーヒー、ミネラルウォーター、オリーブオイル……といった食品にも含まれている。“健康”というイメージのウラで、万能の添加物で莫大な利益を上げる食品業界は次々に「社会毒」をつくり出す。
現在、日本では、メニューの表示偽装問題が取りざたされている。日本のメディアは「食の安全」を錦の御旗のように掲げて、表示偽装を謝罪する企業には容赦のないヒステリックな取材攻勢をかけるが、より本質的な「社会毒」の問題に迫らなければ、「食の安全」の表面的な問題をなぞっているにすぎないのではないか。
(文=和田実)
【お詫びと訂正】
当記事に、当初「特にアジア人(成年)は牛に含まれる乳糖をカルシウムに分解する分解酵素が体内で分泌されないために、うまく吸収できないケースが多い」といった記述ありましたが、「乳糖をカルシウムに分解する」という事実はなく、不適切な表現でした。また、当該箇所は当記事執筆者が、『医者とおかんの「社会毒」研究』とは異なる資料を参考に記述したものですが、同書から引用したものと誤解を招く表現になっておりました。読者の皆様、関係者の皆様にお詫び申し上げます。