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安部徹也「MBA的ビジネス実践塾」第2回

飽和見込まれるコンビニ業界、セブンとローソンが取るべき“セオリー”戦略とは?

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 ここで特化型事業とは、さまざまな要素で差別化が可能であり、戦略次第ではどんな企業も競争優位を築くことができる事業といえます。

 例えば、外食産業でいえばお寿司に特化することにより、小さなお寿司屋ではネタなどにこだわり高級路線で高い収益率を実現することも可能ですし、回転寿司のように大規模な事業を展開してスケールメリットを生かし、大きな収益を上げることも可能です。

 続いて分散型事業は、さまざまな要素で差別化ができるものの、経営資源の制約
などから企業として規模を大きくすることができずに、競争優位を築くことができないという特徴を持っています。

 例えば、街の酒屋などは品揃えや立地など差別化を図ろうと思えばいろいろな要素がありますが、経営資源に乏しく、事業を拡大して競争優位を築くことは難しいといわざるを得ないでしょう。

 次の規模型事業では、競争の優劣を決するのが基本的に規模の大小で、規模が大きければ大きいほど高い収益力を誇るという特徴があります。

 ですからこの規模型事業では業界トップが圧倒的に有利な立場となり、2番手以下はリーダーの規模を追い抜かなければ、厳しい戦いを強いられることになるのです。

 例えば、牛丼業界はかつて吉野家が規模でNo.1の座に君臨して高い業績を上げていましたが、今やゼンショーが率いるすき家にトップの座を奪われ、吉野家は苦戦を強いられています。

 そして、最後の手詰まり型事業では、差別化できる要素が少なく、どのような規模の企業にとっても競争優位を築けないという特徴があり、衰退産業が該当するでしょう。

 この手詰まり型事業に当てはまれば、企業は撤退を含めた抜本的な事業の見直しが必要となります。

 このようにアドバンテージマトリクスを使って自社の事業を4つのタイプに分類すれば、最終的には規模型事業や特化型事業を突き詰めていくという事業戦略を検討していく必要があるということが見えてきます。

●「規模拡大」のセブン

 それでは、コンビニ業界における事業戦略をアドバンテージマトリクスに当てはめて検討していくと、どのような戦略が考えられるでしょうか?

 一般的なコンビニの業態は、規模型事業といえるでしょう。つまり、コンビニ業界では規模が大きければ大きいほど圧倒的な優位に立ち、高い収益力を誇れるようになるということです。だとすると、業界のリーダーであるセブンの戦略としては、「規模の拡大」が妥当な戦略といえます。

 8月末時点でセブン-イレブンの国内店舗数は1万5831店、ローソンは1万1348店です。そこでさらに規模を拡大していけば、スケールメリットが発揮され、ますますローソンとの差を広げることができるでしょう。

 セブン自体は「ドミナント戦略」という狭い地域に集中出店してブランド力を高めたり、配送コストを低減するプレイス戦略を採用していますので、47都道府県すべてに出店しているローソンに対して、いまだ出店していない県が複数存在します。

 実際にセブンは今年の3月には四国に初出店を果たし、今後は未出店地域にも積極的に出店する計画を立てていますので、青森や鳥取、沖縄などの未出店県にも進出していけば、まだまだ成長の余地は大きいといえるでしょう。

●戦いのルールを変えるローソン

 一方で規模型事業のコンビニ業界で、規模に劣るローソンはどのような戦略で
リーダーのセブンに対抗していけばいいのでしょうか?

 セオリーからいえば、従来型のコンビニ事業で競争優位を築きたければ、セブンを上回る規模の店舗を出店していく必要があります。ただ、体力的に見ても正面からセブンと対抗していくことは現実的ではなく、大変なリスクが伴います。

 そこで、ローソンとしては“戦いのルール”を変える必要があるでしょう。

BusinessJournal編集部

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