NEW

カジノ解禁の問題点、改めて整理~誘致合戦過熱で自治体に巨額損害、社会問題の恐れも

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

●誘致にかかる多額の費用、失敗すれば住民に転嫁

 カジノ誘致を目指す自治体には多額の費用がかかる。ごく一部を挙げるだけでも、施設周辺のインフラ整備費用、市場性調査・可能性調査・社会経済影響度評価など、自治体による企画・構想や全体計画策定などに必要な諸費用、住民の理解を得るために必要な諸費用、国が要求する認定申請書類の作成に必要な諸調査の実施費用、施行基本方針を策定し、民間事業者からの公募書類を作成するための諸費用、入札手続諸費用、外部コンサルタントや法務アドバイザーとしての弁護士を起用するための費用などが自治体の費用となる(当然ながら、その原資は住民が負担する税金である)。現に、カジノ解禁推進法案が国会に提出される以前の段階においてすら、誘致活動のためにすでに4500万円を超える費用を支出している自治体もある。

 認定区域におけるカジノの実際の運営開始までには多くのハードルがあり、(1)自治体が国からカジノ設置区域の認定を受けられなかった場合、(2)自治体が区域の認定は受けられたが、適切な民間事業者を選定できなかった場合、(3)自治体が民間事業者を選定したが、当該事業者が国から許可を得られなかった場合、(4)民間事業者が国から許可は得られたが、資金不足などにより、カジノを含む複合観光施設を実際に運営するに至らなかった場合のいずれにおいても、自治体がそれまでにかけた莫大な費用のほぼすべてが無駄になり、住民には損害だけが残る。

 自治体間でカジノ誘致をめぐる死闘が繰り広げられることになるにもかかわらず、今回のカジノ解禁推進法案には、肝心要のカジノ設置区域の選定基準や評価要素は、一切規定されていないのである。このように、国から認定を得るために必要となる開発規模(施設の規模)が不明であるほか、自治体がカジノ事業者から徴収できる納付金の額・率や、カジノの顧客として売上に大きな影響を与えると想定される中国人などの外国人へのビザ緩和の有無などもまったく規定されていない。従って、自治体も関与する民間事業者も、採算性(事業収益性)や想定される経済効果(創出される雇用者数や税収など)の合理的試算ができない。カジノ解禁法は、経済性が主たる正当化根拠(存在意義)であるから、この点は致命的な欠陥である。

 以上のように、各自治体は、そもそもカジノを当該地域に誘致することが妥当か否かの客観的検証すらまともにできない状態で、多額の費用をかけて誘致合戦を遂行せざるを得ないのである。

●住民訴訟が多発する可能性

 ここまで見てきたように、自治体が認定レースに負けた場合は、まずもって、十分な検討も行わずに多額の費用を安易に支出したことを理由に、住民訴訟が提起される可能性が高い。

 さらに、明確な違法行為(例えば、特定の業者との不正な癒着など)はなくとも、結果としてカジノ誘致に失敗すれば、違法な財務会計行為によって地方公共団体が損害を被ったとして、反対派住民などから住民訴訟を提起されるリスクがある。その理由は、(1)住民訴訟の対象となる「違法な」財務会計行為とは、狭い意味での財務会計法規に反する場合だけでなく、地方自治法上の最少経費最大効果原則や職務権限誠実執行の原則に反する場合なども広く含むこと、(2)最高裁判所の判例上、財務会計行為(公金の支出)自体(例えば、インフラ整備のための工事費用の支出)には違法性がなくとも、それに先行する行為(例えば、カジノを施行する民間業者の選定や協定の締結)に違法性がある場合も、住民訴訟を提起し得ることからである。

 もちろん、自治体が認定レースに勝ったとしても、誘致活動における明確な行動基準を示せなければ、最少経費最大効果原則に反する無駄な支出があったなどとして、住民訴訟を提起されるリスクがある。このことは、パチンコ店や公営競技(公営賭博)の場外施設の設置に対して、地域の善良な秩序や生活環境を悪化させるとして、各地で反対運動や訴訟が相次ぎ、大きな社会問題になっていることを想起すれば明らかであろう。

カジノ解禁の問題点、改めて整理~誘致合戦過熱で自治体に巨額損害、社会問題の恐れものページです。ビジネスジャーナルは、ジャーナリズム、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

関連記事

BJ おすすめ記事