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「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第2部>」第58回

大手新聞2社の社長の不倫証拠写真、“新聞業界のドン”が探偵使い入手し公表間近

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 深井が自分のグラスにビールを注ぎながら、脇の太郎丸に目を向けた。

「わしの方も話しよるかのう。大都、日亜の両社をなんとかせにゃならん、と強い危機感を抱きよったのは村尾君が日亜の社長になりよった3年前からじゃ。村尾なんて名前すら知らんかった。それでじゃ、うちの編集の連中に聞きよった。記者としては使い物にならん奴じゃが、部下の女性記者と不倫を続けちょる噂の主で知られちょるいうんじゃな」

 太郎丸はお湯割りを一口飲み、一息入れ続けた。

「嘆かわしいこっちゃと思っちょったが、1年、2年と経ちよると、うちの連中が『日亜の編集にはスキャンダルを抱えたような奴ばかりで、ろくでもない奴しか残っていない』と小ばかにしちょる。大都はどうか、聞きよると、『五十歩百歩』というんじゃ。それでじゃ、2000億円のファンドの前にそれをやらねばなんと思いよったんじゃ」
「そのことじゃなく、聞きたいのは二人の密会の場所をどうして知ったかですよ」

 そもそも論から始めた太郎丸のまどろっこしさに我慢できない風情で、深井が遮った。

「そう急かすな。強い公共性を持っちょる新聞社、それも大手2社のトップ二人が平然と不倫を続けちょる、それが堕落の元凶じゃと考えよった。二人を追放しよれば、自浄作用も働くじゃろ。お主らは甘いと思ちょるかもしれんが、それがわしの考えじゃ」

 太郎丸は『暖簾(のれん)に腕押し』といった感じで、深井の催促を無視して平然と話し続けた。

「追放には女性スキャンダルが手っ取り早いじゃろ。じゃけん、作戦を実行に移しよったんじゃがな。わしが動きよる以上、失敗は許されん。用意周到に準備しちょるぞ」
「準備?どんな準備をされたんですか」

 太郎丸が一息つくと、今度は吉須が口を挟んだ。

「それは写真を撮りよるんじゃから、密会の場所を特定せにゃならん。松野の方は簡単じゃった。大都社内で幹部連中の間では噂に上っちょったし、カラオケしか能のないノー天気な男じゃけん、ご本人があちこちで『リバーサイドホテル』を定宿にしちょると言いふらしおっちゃからな。ホテルを張れば、尻尾を掴めると踏んだんじゃわ」
「うちの村尾はどうだったんですか」
「奴と由利菜との噂は広く流布しちょったが、お主らの言いいよるように奴は極度の秘密主義じゃからのう。それに、肝心の不倫相手がニューヨークに隔離されちょった。わしもディープスロートを使こうて情報を集めよったぜ」
「ディープスロート? 一体、誰です?」
「それはまだ言えん。じゃがな、由利菜がニューヨークから帰国しよった2月中旬から探偵を使いよって調査を始めたんじゃな。それで、もう写真を撮っちょる。あとはいつ表沙汰にしよるかじゃが、その時、お主らにも手伝おうてもらいたいんじゃわな」
「さっき、深井君が聞いた話に戻りますけど、どこかの大手銀行の頭取みたいな“路チュー”写真はないんですよね。それだと、どんな写真があるんですか」
(文=大塚将司/作家・経済評論家)

【ご参考:第1部のあらすじ】業界第1位の大都新聞社は、ネット化を推進したことがあだとなり、紙媒体の発行部数が激減し、部数トップの座から滑り落ちかねない状況に陥った。そこで同社社長の松野弥介は、日頃から何かと世話をしている業界第3位の日亜新聞社社長・村尾倫郎に合併を持ちかけ、基本合意した。二人は両社の取締役編集局長、北川常夫(大都)、小山成雄(日亜)に詳細を詰めさせ、発表する段取りを決めた。1年後には断トツの部数トップの巨大新聞社が誕生するのは間違いないところになったわけだが、唯一の気がかり材料は“業界のドン”、太郎丸嘉一が君臨する業界第2位の国民新聞社の反撃だった。合併を目論む大都、日亜両社はジャーナリズムとは無縁な、堕落しきった連中が経営も編集も牛耳っており、御多分に洩れず、松野、村尾、北川、小山の4人ともスキャンダルを抱え、脛に傷持つ身だった。その秘密に一抹の不安があった。

※本文はフィクションです。実在する人物名、社名とは一切関係ありません。

※次回は、来週1月17日(金)掲載予定です。

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