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相次ぐ食材偽装、思わぬ飛び火で揺れる関西財界~透けるホテル業界の厳しい経営環境

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 阪急阪神ホテルズ系のホテルでは、料理の原価は提供価格の10%が上限だという。営業サイドからは、客を呼べるメニューの要望が強い。コストを削減するために芝エビをバナメイエビで代用していながら、メニューでは芝エビと表示したままにする。ブランド価値を毀損しないよう対策を取ったわけだが、結果として大きくブランド価値を下げる結果となった。ごまかしの事実を公表したホテルは全国で180に達し、日本百貨店協会の調査によると、全国の百貨店の6割、132店で偽装が行われていたことが明らかとなった。

●関西財界の首脳人事に飛び火

 一連のメニュー虚偽発覚は、関西財界の首脳人事に飛び火した。阪急阪神ホテルズの出崎弘社長が記者会見で「偽装ではなく誤表示」という発言があだとなり、昨年11月1日、辞任に追い込まれたのが発端だ。親会社の阪急阪神HDの角和夫社長は昨年10月30日、関西経済連合会(関経連)を訪れ、関経連副会長としての活動自粛の意向を伝え、謝罪した。これで次期関経連会長の最有力候補と目されていた角氏の目は消えたといわれている。

 関経連会長は関西電力、住友金属工業、東洋紡績という“御三家”の指定席だった。初代から現在の14代まで、関電4人、住金3人、東洋紡4人、住友電気工業1人が務めてきた。90年代半ばからは関電と住友グループから交互に就いていた。13代が住金の下妻博氏、14代は関電の森詳介氏だ。

 だが、住金は新日鐵と合併して新日鐵住金となり、関電は原発再稼動問題で揺れる。両社から関経連会長を出すのが難しくなったため浮上していたのが、関西屈指の名門ブランドである「阪急」だった。

 阪急阪神HDは、電鉄を核に、流通の阪急百貨店、レビューの宝塚歌劇、映画の東宝でグループを形成。阪神電気鉄道との経営統合を経てプロ野球球団・阪神タイガースも傘下に収め、「阪急王国」と呼ばれる巨大企業グループとなった。

 その阪急阪神HDは、今回のメニュー偽装表示で企業イメージを大きく毀損した。阪急初の関経連会長のポストが、角社長の手をすり抜けてしまった。これにより、次期会長は住友グループの松本正義・住友電気工業社長が濃厚とみられている。

 阪急電鉄は昨年12月3日、角社長が今年3月に代表権のある会長に退き、中川喜博専務が新社長に昇格すると発表した。角氏は阪急阪神HDの社長は続投するが、同社は今回の人事と食材の虚偽表示問題は関係ないとしている。

 一連のメニュー偽装発覚は、関西財界にも大きな影響を与える格好となった。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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