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ネットは人生を豊かにするのか?評価格差の可視化が先鋭化させる、他者批判と炎上

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 ニコニコ動画・生放送でも同様の現象が起きています。ボカロ曲がスタンダードな音楽ナンバーとなった今の10代にとっては、そこでの評価はより社会的な結果を生みます。「P:プロデューサー」「ゲーム配信者」や「歌い手」「踊ってみた」「生放送」に顔出しで登場する無数のパフォーマーは、人気を集めることができれば、ニコニコ公式コミュニティや各種イベントなどを経て、ニコニコというプラットフォームを離れた現実世界においても、自分周辺のコミュニティを豊かなものへと変化させ、一目置かれる存在となるのです。ネット上での人気が、現実世界の評価へと接続されているのです。

 かつての芸能界などでは、そもそもスターとして活躍できる場(例えばテレビ番組など)自体が限定的でとても少なく、さらにはそこに登場するまでの入り口の門自体が狭かったのです。しかし今では、テレビチャンネルや番組数の制限を受けることなく、ネット上で表現可能な場は、爆発的に広がっています。

 しかし、参加するための入り口は広く開かれていますが、競争自体の激しさは昔と変わりません。視聴者は有限です。すべての人に開かれているように見えるこれらのチャンスですが、当然ながら成功と呼べるほどの結果に達せられるのはほんの一握りで、それ以外の大多数は視聴数やチャンネル購読者数で、振るわぬ結果を「見える化」され、序列されることとなるのです。ここに「評価格差の見える化」が起きます。

 こういった現象は、10~20代の動画サイト利用者の若者にだけ、関係のある話ではありません。本格的なネットの一般化が訪れて以来、この評価格差の見える化は、もはや無縁の人はいないといってもいいものです。

●「いいね!」の可視化で生まれる「格差」

 Facebookを中心に「ソーシャル疲れ」という言葉が昨年は多く聞かれました。友人の投稿に「いいね!」を押さなきゃいけないのではないか、という強迫観念。そして、友人の投稿の端々に現れる、自分にはない「生活レベル・家庭や恋人・交友関係の広さ親密さ」に接した時に、自分の中に湧き上がる黒い感情と向き合うことなどに疲れてしまったという声です。「リア充」はすっかり一般語となり、自分の持たない「何か」を持ったものに対する怨嗟の念を表す言葉として、共感語として機能している感さえあります。

 今、私たちは「いいね!」に類するさまざまな評価システムの可視化が行われる社会に生きています。ブログを開けば購読者数やブックマーク数やコメント数が、Facebookでは日常投稿につく「いいね!」数やコメント数が、Twitterではフォロワー数やリツイート数が、クックパッドに料理を投稿すればリピ報告の数が、といった具合にあらゆるネット活動のひとつひとつに「評価の見える化」が浸透してしまっています。

 その上でさらに、他者の生活が自然と目に飛び込んでくることによる、自己と他者との「現実世界での格差」というストレスにもさらされています。誰が上で誰が下か、誰が人気者で誰が格下なのか、友人が何を持っていて、何を持っていないか。私たちは日常的にネットと現実世界の両面での格付けにさらされているのです。

 これら「評価の見える化」や「現実社会での格差」は、私たちの心情にどんな変化をもたらしたでしょうか。

 それは、「自分と他者との差異の明確化」なのではないかと私は考えています。 ソーシャルメディアやネット上での個人レベルの情報発信が行われる前は、お互いのことを不完全にしか認識できていませんでした。詳しく知らなかったからこそ、相手は自分と近い・似た存在なのだという「美しい誤解」が保たれていたのではないでしょうか。

●「他者との格差」が批判・炎上に拍車をかける

 自分の考えとは相いれない人間のブログやTwitter上での発言を見た時、それを批判したくなる苛立ちの背後に「なんであんな考えの奴が、読者に支持されて人気を集めているんだ?」という思いがないでしょうか。名門大学の学生がバイト先で馬鹿なことをしているのを見た時、「なんでこんな馬鹿が、恵まれた環境でリア充ライフ送っているんだ」という思いがよぎった経験はないでしょうか。

BusinessJournal編集部

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