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飲みニケーション、なぜ積極活用する企業増?費用を支給、部署や役職をシャッフル…

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飲みニケーション、なぜ積極活用する企業増?費用を支給、部署や役職をシャッフル…の画像1「Thinkstock」より
「飲みニケーション」を積極的に活用する企業が増えているという。

 会社の飲み会といえば、職場の仲間と酒を飲んで交流を深めるという名目のもと、実際は酔っ払った上司の説教やグチを延々と聞かされたり、セクハラやパワハラの温床にもなったりと、あまりいいイメージがなかったもの。「飲みニケーション」という言葉自体、すっかり過去のものになっていたはずなのだ。しかし、どういうわけか最近、その社内飲み会が見直されているのだという。

 例えば、日立ソリューションズでは「段々飛び懇親会」という社内飲み会を行っている。部長と主任のように、役職や部署が全然違う社員同士の飲み会を制度化したうえ、1人当たり3000円の飲み代を会社が負担しているのだ。また、ある中堅の製造業も、社内コミュニケーションの活性化を目的に「懇親会手当」という制度を導入。管理職と部下が一緒に飲むと、会社から1人当たり数千円の補助金が支給されるという。

 さらに、求人サイトなどを運営する大阪のギャラクシーエージェンシーは、社長を含めた全社員を対象に「シャッフル飲み会」を2カ月に一度行っている。これは社員をランダムに選び、5~6人で1グループとする、誰と一緒になるかわからない飲み会で、社員同士が仕事についてざっくばらんに話し合うというもの。もちろん、飲み会の費用は会社が全額負担する。極めつきは求人サービスサイト「アルメン」を運営する日本産業広告社で、スタッフ募集の最終面接は社長同席の飲み会としているという。

●「飲みニケーション」導入の狙い

 どうして「飲みニケーション」を活用する企業が増えているのか。ひとつには、以前と違って会社の飲み会に対する若手社員のアレルギーが減ってきたことがあるという。新入社員を対象にした日本能率協会の調査によると、上司との人間関係の構築に「飲み会への参加が有効」と答えた人が2012年度は約94%。数年前に比べて、「そんなに頻繁でなければ、会社の飲み会に参加したほうがいい」と思っている若手社員が増えている。

 もっとも、「飲みニケーション」が見直されている本当の理由はそんなことではない。一番大きいのは「生産性」の問題だ。会社の飲み会には、上司と部下、あるいは他部署とコミュニケーションを取ることで、情報や意識を共有し、仕事の生産性を向上させる効果があるといわれる。つまり、企業が社内飲み会を支援するのは「仕事の生産性を上げる」という目的のためだ。

 一人ひとりが仕事に追われ、飲み会も減った結果、コミュニケーション不足によって生産性が低下したと考えている企業が少なくないというわけだ。そこで、会社として「飲みニケーション」を支援。若手社員が参加しやすいように、月1回程度、費用は全額負担、説教やパワハラ、セクハラは厳禁といったルールをつくって開催している企業が増えているのである。

 だが、本当にそれで生産性が上がるのだろうか。前述の中堅製造業のケースでは、社長の肝いりで「懇親会手当」という制度をつくったものの、若手社員が上司との飲み会に参加したがらず、上司世代が板挟みになっているという。もともと「飲みニケーション」という言葉が生まれたのは高度経済成長期。まだ年功序列・終身雇用が守られ、会社が社員を家族のように扱っていた時代のコミュニケーション方法なのだ。いまやこうした日本型企業は絶滅しつつあり、会社は雇用保証をせず、給料も満足に上げない。1人当たり数千円を月1回負担する程度のコストで昔のやり方を復活させたところで、どれほどの効果があるのか、今後の見極めが必要といえよう。
(文=岡﨑雅史/清談社)

BusinessJournal編集部

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