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地銀再編、異例の金融庁主導で本格化~巨額利益見込む和製ファンドらの影

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金融庁が入居する中央合同庁舎第7号館(「Wikipedia」より/Rs1421)
 金融庁が地域金融機関の再編に本腰を入れ始めた。畑中龍太郎長官が1月の地銀・第二地銀トップとの会合で、「非常に多くのの地銀(第二地銀)が黄色信号。聖域を設けず取り組んでほしい」と、再編を促す異例の発言をしたのに続き、「金融機関の将来にわたる収益構造の分析について」と題する資料を配布し、再編に圧力をかけている。

 この資料は、横軸に現在の収益力(各行の中小企業向け貸出利回りから、預金利回り・信用コスト率・預貸業務に関する経費率を控除したもの)を、縦軸に2015年3月末時点の地元市場規模(人口動態から推計した増減率)を取ったマトリックス表で、地銀・第二地銀105行がどの位置にあるのかが点で示されている。さすがに個別の銀行名は伏せられているが、公表資料から分析しただけで、どの銀行がどこに位置するのかはおのずとわかる仕組みになっている。「収益力が弱く、人口減少が激しい地域の金融機関は再編候補と名指しされたようなもの」(地銀幹部)といっていい。

 人口減少に伴い地方経済が縮小する中、地域金融機関の生き残りは容易なことではない。「市場規模に比して地域金融機関の数が多い、いわゆるオーバーバンキング状態にある地域があり、再編は不可避」というのが金融庁の認識である。

●ちらつく和製ファンドの影

 一方、こうした金融庁の再編要請の陰に投資ファンドの存在を嗅ぎ取る向きもある。そもそも地銀再編は安倍晋三政権が目指す成長戦略「産業の新陳代謝策」の一環で、昨年5月に公表された自民党・日本経済再生本部の「中間提言」の中でも、「地域金融機関の広域での提携・再編等を通じた県境を越える広域的な営業活動による企業・産業のサポートなどが不可欠である」と明言されていた。そして、この提言の背景には、地域金融機関の再編が活発化すれば、M&Aの助言や出資等で大きなビジネスチャンスが生まれる投資ファンドの働き掛けがあると見られている。

 金融庁が地域金融機関再編のモデルとするのは、07年に福岡銀行(福岡県)が中心になって、熊本ファミリー銀行(熊本県)、親和銀行(長崎県)が糾合したふくおかフィナンシャルグループ(FG)にほかならない。そして、同FGの誕生を陰で仕切ったのは、和製投資ファンドの雄「ジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)」だった。

 JWPは03年4月に設立された独立系ファンドで、すべての資金を日本政策投資銀行や年金基金、大手金融機関といった国内機関投資家から集め、投資した国内企業の再生や成長に基づくリターンを国内の投資家に還元する。再生の手法は投資先企業に役職員を派遣し、既存の役職員と共に再生を目指す、日本的な穏当な手法を得意としている。

 JWPを立ち上げたのは日本長期信用銀行(長銀)出身の佐藤雅典氏。1998年に経営破綻した長銀からゴールドマンサックスに転じ、ここで不良債権処理および企業再生ビジネスを担当した後、独立してJWPを設立した。その佐藤氏が着目したのが地銀の再編だった。

 06年に福岡銀行と傘下に親和銀行を持つ九州親和ホールディングス(HD)が資本提携したのを受け、九州親和HDは福岡銀行とJWPを引き受け先とする総額300億円の第三者割当増資を実施した。この増資では、福岡銀行が普通株式70億円、JWPが管理するSPC(特別目的会社)が優先株式230億円を引き受けた。また、九州親和HDの貸出債権のうち1000億円分が福岡銀行のサービサーである「ふくおか債権回収」および新たに組成した再生ファンドに譲渡された。

 これにより九州親和HDは資本増強と不良資産の切り離しが図れ、同HD傘下の親和銀行のふくおかFG入りが実現する。同HDはその後、清算された。福岡銀行はJWPと組むことで、九州一円をカバーする一大銀行グループに成長することができたわけだ。

BusinessJournal編集部

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