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迷走するカジノ解禁、誤解流布で混乱する議論~反対派活発化で展開緊迫、公営でもリスク大

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迷走するカジノ解禁、誤解流布で混乱する議論~反対派活発化で展開緊迫、公営でもリスク大の画像1「Thinkstock」より
 国際観光産業振興議員連盟(IR議連=通称・カジノ議連)に所属する自民党日本維新の会、生活の党の議員らが、カジノ解禁推進法案(「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」以下、推進法案)を先の臨時国会に議員立法の共同提案として提出した。同法案は、今国会で審議される見込みである。

 衆議院及び参議院ともに、上記の3党だけで総議席の過半数を占めている上、カジノ議連には民主党、みんなの党、公明党などの議員も多数所属している。従って、仮に各党で党議拘束が外され自主投票となったとしても、最終的には、同法案が可決、成立する可能性は高い。カジノ議連の主要有力メンバーからは、「90%以上の可能性で、今国会において成立する」との声も聞かれる。一方で、カジノ解禁に反対する全国の弁護士や司法書士らが、「全国カジノ賭博場設置反対連絡協議会(仮称)」を近々結成し、法案の成立阻止を目指す動きも出てきている。同協議会は、カジノが持つ負の側面の広報に力を入れるという。法案審議をめぐっては、緊迫した展開ともなり得る。

 カジノ解禁の是非については、国民間でも徐々に議論が進んできている。しかし、法案の具体的な内容や制度設計などについては、正確な情報が行き届かず、議論に混乱が見られる。例えば、「日本のカジノは公営が予定されている」「フジテレビはマスコミなので、お台場でカジノを運営するのは許されない」「カジノが認められるのは東京・大阪・沖縄の3カ所で、すでに決定している」などと聞かれるが、これらはいずれも誤りである。

 カジノ解禁は、人間の本能的欲望に直結する深いテーマであるとともに、お金の稼ぎ方・使い方という意味で憲法27条の勤労の義務にもかかわる重大テーマであり、国や社会の形そのものを大きく変え得る。従って国民としては、解禁の是非についていずれの立場に立つにしても、正確な情報を可能な限り多く提供される必要がある。

 そこで今回は、今国会で審議される法案を含め、最新のカジノ解禁構想の内容をわかりやすく解説するとともに、今後の検証ポイントを明らかにしたい。

●推進法案の概要

 推進法案は、カジノを含むIR(特定複合観光施設)の実現という政策目標達成に向けたスケジュールと、基本的な枠組みを示すプログラム法案である。カジノ解禁のための具体的手段、すなわち、どのような制度設計でカジノを解禁するのかという内容は、推進法施行後1年以内をめどとして、別に立案されるカジノ解禁実施法(正式名称「特定複合観光施設区域整備法」/以下、実施法)において規定される。推進法案は議員立法として提出されたが、実施法案は内閣が提出する閣法となる。刑法によって原則として禁止されている賭博を、特別法としての実施法によって解禁するという建て付けである。

 なお、実施法で規定されることとなる制度設計の基本的な方向性については、カジノ議連が、「特定複合観光施設区域整備法案(仮称)~IR実施法案~に関する基本的な考え方」(以下、議連実施案)と題する文書において発表している。議連実施案に法的拘束力はないものの、世界各国のカジノ法制などについての充実した研究成果に基づいており、概ね合理的な内容である。従って、実施法で規定される制度設計も、基本的には議連実施案から多くを取り入れたものとなる可能性が高い。

●カジノ解禁までのスケジュール

 推進法は(一部を除き)、成立・公布とともに直ちに施行され、3カ月以内に内閣に推進本部が設置される。推進本部は内閣総理大臣を本部長とし、全大臣で構成され、有識者で構成される推進会議の意見を受けるなどしながら、1年以内をめどに実施法案を国会に提出する。実施法が成立・施行され次第、カジノ施設の具体的な設置手続が進められ、国から認定を受けた自治体において、カジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者がカジノ施設の運営を開始する。カジノ施設関係者に対する規制を行うカジノ管理委員会は、内閣府に外局として置かれる。

 以上をまとめると、「推進法成立→推進本部設置(3カ月以内)→実施法案国会提出(1年以内)→実施法成立→具体的設置手続→運営開始」となる。2020年の東京オリンピック開催までに運営が開始できるように設定している。

BusinessJournal編集部

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