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迷走するカジノ解禁、誤解流布で混乱する議論~反対派活発化で展開緊迫、公営でもリスク大

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●カジノ解禁の目的、設置形態

 観光及び地域経済の振興、財政の改善をカジノ解禁の目的とし、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本理念とするとしている。

 推進法案は、カジノを単体で合法化(解禁)するものではなく、IR全体を法制化するものである。IRは、自治体の申請に基づき国の認定を受けた「特定複合観光施設区域」においてのみ設置することができる。推進法案においては、「特定複合観光施設区域」の認定基準や評価要素は規定されていない。従って、国から認定を受けるために必要な開発規模(施設の規模)や開発内容は、現時点では不明である。

 議連実施案は、カジノ施設を全国津々浦々に設置すべきではないとし、IR及び「特定複合観光施設区域」の総数を明確に限定し、かつ、その運営や監視監督の仕組みが適切に機能することを着実に確認しつつ、段階的に設置していくことを基本とする。そして、「大都市型」と「地方型」の二類型が構想されることが望ましいとしているが、議連実施案においては、それぞれの具体的意義が述べられていない。そのため、大都市と地方という区別が、立地条件に着目したものなのか、それとも企業・産業活動や研究・学会活動等のMICE機能など開発様式に着目したものなのか、明らかでない。この点について、推進法案及び議連実施案の有力な立案関与者である大阪商業大学客員教授・東洋大学大学院客員教授美原融氏は、「大都市型」をMICE型、「地方型」をリゾート型と分類している(「月刊レジャー産業資料」<綜合ユニコム/2月号>)。

 また、議連実施案は、施設・区域の総数を限定する施策を取る以上、公平性・透明性のある判断基準及び手続により、自治体に不公平感が生じない配慮をした制度設計が必要であるとしている。そのためには、「特定複合観光施設区域」の認定基準及び認定手続を(細目的・技術的事項は別として)、法律に明記することが望ましい。

 なお、先述の美原氏によれば、「特定複合観光施設区域」認定の主要評価判断基準として、(1)地域の観光・産業・社会諸施策との整合性、(2)実行可能性、観光振興への効果、(3)地域における社会的合意形成、(4)社会的に否定的な側面への対応策、(5)社会的影響度評価の実施、(6)地域の環境保全への配慮などが、内部的に検討されているようである。これらはいずれも合理的な基準であるといえ、議連実施案に採用されることを期待したい。

●カジノ施設の運営主体

 カジノ施設は、民間事業者が設置及び運営する民設民営型である。これは推進法案が、民間投資を促進し民間活力を最大限に活用するとの視点に立つことによる。推進法案は、カジノを含む統合型リゾートによる地域活性化について、国ではなく地方が主導し、官ではなく民が主役という理念に貫かれている。

 この点について、日本においてこれまで例外的に許容されてきた賭博(宝くじ、競馬、競輪、オートレース、競艇など)が、いずれも公営であることとの整合性や、取り締まりを強化して治安悪化を防ぐという観点を重視して、カジノについても公営とすべきであるという見解がある。

 しかし、いかなる事業においてもリスクを取らない成功はありえない。現に、競馬、競輪といった公営賭博は軒並み赤字となっている。カジノも公営型にすれば赤字となることが予想され、それを補填するための税金投入も危惧される。さらに、公務員の新たな天下り組織の発生を防止する必要もある。

 民間で運営する場合、実施法などにおいて議連実施案に沿った制度設計をすれば、極めて厳格な監視監督がなされることになるので、「賭博に関連する公正な社会秩序」(カジノ解禁の実質的な正当化根拠)は確保されるであろう。従って、カジノを解禁するのであれば、推進法案に規定される民設民営型が望ましいだろう。但し、この点については、行政がカジノの施行権を持ちつつ、カジノ施設の開発や運営については民間委託するという形態を主張する見解もあり、慎重な検討が求められよう。

 公募によって選定された民間事業者は、カジノ管理委員会から許可を受けた上で、自らの費用とリスクによってカジノ施設などを整備し、運営することになる。議連実施案は、民間事業者と自治体との間の協定についても、国の規制機関の認証が必要であるとしている。

BusinessJournal編集部

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