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精子提供サービスの実態と、ヒトのクローンにおける安全面の課題、および技術的進歩

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 しかし、どんなに「クールなイケメンの精子だ」と言われても、それを保証してくれる公平な第三者機関があるわけでもないようです。レシピエントにとっては、提供される精子の品質に対して、不安は残るでしょう。

●動植物には広まっているクローン

 このケースは、「パートナーはいらないけれど、自分の遺伝子を受け継いだ子どもと共に生きる」ことを選んだといえます。見知らぬ男性から遺伝情報の半分(50%)をもらうくらいなら、いっそ「自分の遺伝子100%の子どものほうがいい」と考える女性もいるのではないでしょうか。

 すなわち、自分自身のクローンです。

 クローンとは、他の個体と同一の遺伝子構造を持つ個体のことをいいます。育つ環境によって、後天的に影響を受けることもありますが、個体同士は、基本的には同じ顔や体型を有します。

「クローンなんて気持ち悪い」「得体が知れず、怖い」などと思われる人は多いかもしれませんが、私たちの回りには、結構な数のクローンがあります。

 まず、植物ではクローンは一般的で、挿し木などは典型的なクローンです。生物でも、一卵性双生児は同じ遺伝子を持って生まれてきますから、クローンであるといえます。

 私たちの日常生活でも、食卓に普通に登場しています。例えば、食用牛肉は、肉質の良い牛、乳量の多い牛のクローンが流通しており、日常的に消費されています。

 クローンは遺伝子を100%そのまま使うのですから、いわゆる「遺伝子操作」には該当せず、むしろ「遺伝子『無』操作」との言い方がふさわしいでしょう。

 クローンには、大きく受精卵クローンと体細胞クローンの2種類があります。

 牛の場合、受精卵クローンは、他の複数のメス牛の卵子と子宮を借りて、双子ならぬ8つ子や16つ子をつくるようなものです。「代理母(メス牛)」の協力による、双生児の大量生産という理解でよいと思います。現在のところ、受精卵クローンによる牛肉は安全とされているようです。

 これに対して、体細胞クローンは、「子ども」の量産ではなくて、「自分自身」のコピー量産という点で異なります。

●クローン人間の現実味

 世界初の哺乳類の体細胞クローンである、メスの羊「ドリー」が、1996年にスコットランドのロスリン研究所で誕生したニュースが世界中に流れた時、世界中の嫌悪感はピークに達しました。

 羊で体細胞クローンがつくれるということは、当然、同じ哺乳類である人間でも可能であるからです。

「保存された体細胞から独裁者を復活させる」というSF小説の話が、いきなり現実の世界に落ちてきたのですから、人々はさぞかし怖かっただろうと思います。

 しかし、先ほどの話に戻りますが、自分の遺伝子100%の子どもを産みたいと考える女性にとっては、自分自身のクローンとは「20~40年の年齢差のある、自分の双子の妹」と同じである、というポジティブな解釈も可能です。このように考えると、あまり怖くないと思います。

 少々話はそれますが、この原稿を執筆している最中に、嫁さんと長女に「『見たこともない男性に精子を提供してもらって子どもを産む』のと、『自分自身のクローンを産む』のは、どっちがいい? ただし『どっちも嫌』という答えは不可」と質問してみたところ、2人とも迷うことなく「前者」と答えました。「自分自身のクローンを産み育てるなど、おぞましすぎる」とのことでした。ここでは割愛しますが、このやりとりは結構面白かったので、私のホームページに掲載しておきます。

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