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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第15回

銭湯、客数減でもなぜ潰れない?多額補助金、水道料金実質無料、税金免除…

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 ちなみに、牛丼チェーン「すき家」の1店舗平均年商は約7,000万円、コンビニチェーン「セブン-イレブン」に至っては約2億4,000万円である。原価率が違うためいちがいに比較はできないが、銭湯はなかなか厳しい経営状況にあるといわざるを得ない。

●さまざまな優遇措置

 だが、今回取材したある銭湯は、そのような統計上の数字はどこの世界の話かといわんばかりに羽振りがよかったのである。銭湯のみならず賃貸マンションも所有しており、会社として儲かっているが、なぜそのような事態になり得るのか。

 その答えは「料金減免」と「補助金」にある。

 実は、銭湯の水道料金は実質無料で、さらに施設と土地の固定資産税はその3分の2が免除されるのだ。「銭湯で水道料が無料」ということは、先出の牛丼屋でいえば「タダでもらった米と牛肉で牛丼をつくって、相場より安い家賃の店で売る」状態と同じといえよう。湯を沸かすための燃料代の負担があるとはいえ、極めて好条件でビジネスができているわけだ。

 東京都水道局のホームページをみてみると、通常の料金表のほかに、公衆浴場用の水道料金、および下水道料金が載っている。いずれも、銭湯だけの特別枠だ。しかも、そもそもの基本料金自体が優遇されている。一般家庭の場合、水道口径にもよるが従量料金として11立方メートル以上は1立方メートル当たり128円、1,001立方メートル以上で同404円などと細かく決められているのに対し、銭湯は11立方メートル以上はいくら使っても同109円なのである。また基本料金にしても、一般では口径40mm以上なら6,865円~816,145円と8段階の設定があるのに対し、銭湯はいくら口径が大きくとも、6,865円が上限なのだ。

 さらに銭湯には「水道料金の減免」が適用され、「従量料金について、1月当たり5平方メートルを超える使用水量1立方メートルにつき15円を乗じて得た額に100分の105を乗じて得た額」が引かれることになる。

【「東京都水道局 HP」より】
「水道料金・下水道料金の計算方法(23区及び多摩ニュータウン地域)」
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/customer/life/r_keisan_23.html
「水道料金・下水道料金の減免のご案内」
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/customer/life/genmen.html

 さらにはここに各自治体からの補助金が投入されるため、銭湯は実質無料で水道を使えることになるわけだ。今回取材に応じたある銭湯の経営者は「いろんな補助が出るから、客がいなくても儲かる」と明かす。

 補助金の割合や使途は各自治体によって独自に定められているが、用水のみならず、人件費や光熱費、減価償却費として設備補修などにも用いることができる。

【銭湯への補助金の例】
「港区公衆浴場営業経費補助金交付要綱」
 http://www.city.minato.tokyo.jp/reiki/reiki_honbun/ag10409421.html
「大田区公衆浴場支援」
 http://www.city.ota.tokyo.jp/sangyo/View.files/7kousyuuyokuzyou.pdf

●時代錯誤な手厚い保護

 この補助金については、その金額規模や対象が限定されていることから、多くの地方議会で問題となっている。しかし、当の自治体は

 ・一般公衆浴場は「物価統制令」に基づき入浴料金が決まっており、事業者が自由に設定することができない。
 ・また「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律」において、地方公共団体は、助成その他必要な措置を講ずるよう努める旨規定されている。
 ・公衆浴場は、健康保持だけでなく、高齢者の憩いの場や地域のふれあいの場として大きな役割を果たしている。

といった答弁を繰り返し、抜本的な対策をとろうとはしていないところが多いようだ。

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