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TPP、食の安全に重大な脅威の懸念~添加物、残留農薬、検疫の規制緩和の問題点

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(3)非関税障壁の撤廃で食品添加物の急増が不可避となる

 TTPは、食品安全基準のような非関税障壁による企業負担を減らす規制緩和メカニズムを導入しようとしていが、実はTPPを主導している米国政府は、食品添加物問題でも日本に対して身勝手な要求をしている。米国通商代表部の「2010年外国貿易障壁報告書」の該当箇所を見てみよう。

「日本の食品添加物の規制は、いくつもの米国食品、特に加工食品の輸入を制限している。米国及び世界中で広く使用されている数多くの添加物が、古い代替品よりは安全と考えられている新しい添加物を含め、日本では認可されていない。(略)2002年、日本は迅速な審査に関する46品目の食品添加物のリストを作成したが、25品目の添加物は、安全に関する広範囲にわたるデータが利用可能であるにもかかわらず、未だ審査及び認可がなされていない。米国政府は、食品添加物のリストの審査を完了して、食品添加物に関する審査のプロセスを迅速にするよう、日米規制改革イニシアティブを通じて日本に強く要請している」

 米国で認められている食品添加物で、日本で認められていない食品添加物を使った加工食品は、食品衛生法違反として現在、日本への輸入は認められていない。そのため米国政府は日本政府に対して、米国で使われていて日本で使用が認められていない食品添加物の審査・認可を一刻も早くするように躍起になっている。

 では、米国で使われている食品添加物は、どれくらいあるのか。

 米国では、約3000品目の食品添加物が使用を認められているとされている。それに対して日本は、指定添加物で413品目、既存添加物で419品目と、米国と比べても2000品目以上も少ない状況である。この差を一気に縮めたいのが米国政府の立場である。

(4)遺伝子組み換え表示の撤廃が交渉目的-TPA法案

 遺伝子組み換え表示が守られるかどうかは、消費者の関心事項である。昨年も米国オレゴン州で安全性の確認されていない未承認の遺伝子組み換えの小麦が作付け地帯で自生していたということで、大問題になった。これを受け、日本もアメリカ産小麦の入札売り渡しをストップした。安全性の確認されていない遺伝子組み換え小麦が日本でも流通しかねない事態であった。それだけに、日本の消費者は、遺伝子組み換え表示がTPP交渉で非関税障壁として撤廃されるのではないかと不安に思っていた。

 これに対して日本政府は、TPP交渉でも日米二国間でも、遺伝子組み換え表示の撤廃問題は議題になっていないと説明してきた。

 しかし、事実と異なる。米国のTPA大統領貿易促進権限法案は、大統領にTPP貿易交渉権を与える代わりに、詳細にTPP貿易交渉の目的を記載し、それを大統領に実行させることを求めているが、この法案を見れば、米国政府がTPPで何を実現させようとしているかが明らかになる。内容は広範囲にわたり、物品の貿易、サービス貿易、農産物貿易、外国投資、知的財産、国有企業及び国家管理企業、労働及び環境、通貨などである。

 この中に「合衆国を不利にするような諸手法を撤廃させる」として「バイオテクノロジーを含む新科学技術に影響を与えるような、表示といった不当な貿易諸制限ないし商業上の諸義務」を撤廃することが明記されている。要するに米国政府のTPP交渉目的に、遺伝子組み換え表示の撤廃が明記されているである。それが米国政府の交渉目的であり、日本政府にそれを求めないということはあり得ないのである。

(5)48時間通関の義務化で検疫の規制緩和

 従来TPPは、ニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイの4カ国で開始されてきた。この4カ国のTPP協定(P4協定)が、米国政府が今進めている12カ国によるTPPの有力なたたき台の一つになっている。そこに盛り込まれている協定内容は、ほぼTPP協定に盛り込まれると見られている。

 このP4協定では、通関手続きが独立の章として取り扱われ、ペーパーレス貿易、至急貨物通関などとともに、加盟国は貨物が到着後48時間以内に通関させることを義務づけている。このような規定を定めているFTA(自由貿易協定)は、日本が締結しているFTAにはない。

 日本がTPPに加入すれば、48時間以内通関が義務づけられることになるが、これでいったいどのような事態が生じるのか。

BusinessJournal編集部

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