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2ちゃん転載禁止の真意とは?動揺広がるまとめサイトの今後と、問われる違法性

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2ちゃん転載禁止の真意とは?動揺広がるまとめサイトの今後と、問われる違法性の画像1「インターネット匿名掲示板「2ちゃんねる」より」

 インターネット匿名掲示板2ちゃんねる」の中でも特に人気のある「ニュース速報(VIP)」「なんでも実況J」「ニュース速報+」といった掲示板で、スレッドの内容を外部サイトにおいて転載することが禁止された。

 禁止されたといっても、タイトル欄に「転載禁止」の文字が入った程度の変更ではあるのだが、この流れは「2ちゃんねる」全体に広がってきている。これによって、いろいろなところに影響が出てきているようだ。

●「まとめサイト」消滅の危機?

「2ちゃんねる」は、以前から一部の転載禁止を打ち出していた。「面倒なことになりそうな会社さんへ」というタイトルで公開された文書には、当時の大手まとめサイトが名指しされていた。この時、禁止を明言されたサイトは、捏造や改竄などの悪質性が問題視されたのだといわれている。

 しかし、今回の一連の流れはどうも意図が違うようだ。管理人が変わったことがきっかけで、新管理人であるジム・ワトキンス氏の方針として転載禁止との意向が示された。その後、各掲示板でユーザー投票を行いながら転載禁止とする方向性ではあるが、ワトキンス氏は「まとめサイトを停止させるつもりはない、むしろ推奨する」という意図の発言をしており、とりあえず「まとめサイト」が即座になくなるということはなさそうではある。

●なぜ転載禁止とするのか

「2ちゃんねる」では、他人の書き込みコメントを抜き出して「まとめ」と呼ばれるウェブサイトにまとめ上げ、広告収入などを得ることをよしとしない風潮は広がっていた。一部の掲示板では、「アフィリエイトサイトへの転載を禁止する」という言い回しで、有用な内容をまとめたり、話題を読みやすくまとめたりする行為そのものは否定せず、まとめによって収入を得ることを否定していたりもした。

 また、手軽に読めるまとめサイトから興味を持って、本体のスレッドに入って来る新規ユーザーが、すでにできあがっているスレッドの雰囲気にそぐわない、慣例を守らないなどの「空気を読まない」部分を嫌う人も多かったようだ。

 しかし、運営側の打ち出した転載禁止は、そうした感情的なものを理由としていないようだ。書き込みコメントの取捨選別をせずに、ただコピーを残している「ログ速」に対して「法的処置を取る」とした一方で、アフィリエイトがはびこる「まとめサイト」を概ね問題なしとしていることから、ユーザーの感情とは別の思惑があることが読み取れる。

 まとめサイトに対して、「2ちゃんねる」へのトラックバックシステムをつけさせるとか、使用料を徴収するかもしれないという話がまことしやかに語られており、要するに「2ちゃんねる」に集まったデータ資産を流用して勝手に収益を上げることは認めないということなのだろう。アフィリエイトで儲けているか、有用な情報をまとめているか、といった部分は問題ではなく、ネットユーザーが「2ちゃんねる」から離れていかないように流れをつくり、また広告収入を確保することを目指すビジネス的な目的のようだ。

 趣味系の掲示板では、持ち寄られたノウハウをWiki【編註:ウェブサイト上で、ユーザーが編集してつくるコンテンツ】等でまとめていることも多い。しかし、このWikiでの利用についても転載にあたると考えられ、アフィリエイトを貼らず、「2ちゃんねる」ユーザーや一般の読者も存在を喜ばしいと感じていたとしても、認められない可能性がある。実際にどのような対応が取られるのかはわからないが、今後の動きによっては、まとめサイト以外でも動揺が広がるかもしれない。

●まとめサイトは違法か?

 転載禁止という言葉に、どれほどの影響力があるのだろうか? まず知るべきなのは「転載」と「引用」の違いだ。

 「引用」は、公に認められた権利で、ある条件を満たしていれば元の著作者の許可を得ないまま原文を引き写すことができるし、それを咎められることもない。ただし「元の文章を変更してはいけない」「出典を明記しなくてはいけない」「引用が主体であってはいけない」との条件がある。

 引用を主体としないということは、裏を返せば自説が主体でなければいけないという意味だ。「ある本にこういうことが書かれていた」という部分よりも、それを受けて「自分はこう考える」と語る部分がメインにならなくてはならず、元の文をコピー&ペーストしたものを主体としていれば、それは出典が明記されていても「転載」ということになる。認められた利用範囲ではないため、著作権法的にも問題になるはずだ。ただ、日本の著作権法は親告罪とされ、権利者が訴えないかぎり罪には問われず、グレーな状態にとどまる。

 現在のまとめサイトは、基本的に「2ちゃんねる」からのコピー&ペーストが主体だ。管理人のコメントが添えられている場合もあるが、一言程度。これはとても「引用」とは呼べない。ユーザーのコメントまでも感想としてコンテンツに含めるとしても、転載部分よりもコメントが多いことはあまりない。

「2ちゃんねる」自身も外部の記事をコピー&ペーストして始まるスレッドが数多くある。しかし、コピーされたニュースよりもユーザーのコメントのボリュームのほうがずっと多いので、ユーザーコメントというメインコンテンツをつくるための引用なのだ、と言い張れる余地はある。また、リンクを貼る時に必要となるタイトルとURLは一般的に著作権で保護されないため、ニュース本文をコピーせずにタイトルとURLをつけてスレッドを開始する新習慣を定着させてしまえば、あまりスタイルを変えずに続けることもできそうだ。

BusinessJournal編集部

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