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「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第2部>」第67回

大地震の直後でも接待ゴルフに興じる巨大新聞社社長~不倫暴露で追放できるか?

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「そんなこと、わかっている。でもな、国民がジャーナリズムとしての役割を果たせる唯一の大手新聞なら、会長が陣頭指揮しなくても、ちゃんと対応できなきゃ困るじゃないか。だから、年寄の冷や水、と言っただけさ」

 深井に窘められた吉須も少し言い過ぎたと思ったのか、言い訳した。深井も矛を収め、大都の惨状を話し始めた。

「うちなんか、ひどいもんですよ。あの日、社長の松野(弥介)は昼の新幹線で大阪出張だったんです。翌日の12日に広告関係の顧客を招いたゴルフ接待があったんです」

 深井はお茶を啜り一息入れ、続けた。

「夜の接待は早々に切り上げ、カラオケには行かなかったらしいですけど、大阪本社で、情報を上げろと騒いで大変だった、といいます。吉須さんのところはどうだったんですか」
「おい、うちの話をするのはいいが、結局、ゴルフ接待はどうしたんだい?」
「関西では揺れを感じなかったでしょう。実感がわかないんですね。12日は予定通り、接待ゴルフをしたんですよ」
「ひどいね。新聞社は一般の会社と違うからな。その意識がないんだな。でも、うちは話にもならんぞ。村尾(倫郎)は本社にいたんだが、大地震の直後から、大騒ぎしたらしい」
「え、なんでですか」
「それが話にもならん、と言っているんだ。12日に社長の村尾主催の幹部ゴルフ会を御殿場の方でやることになっていて、それをやるかどうかで、秘書室長(杉本基弘)や編集局長(小山成雄)の側近連中が7時頃まで大騒ぎしていたというんだよ」
「まさか、やったんじゃないでしょ?」
「当たり前だろ。結局、中止にしたんだが、いくら“引き籠り社長”が側近以外の幹部と交わる年1回の行事でも、騒いでいる場合か。1分で決められる話じゃないか」

 太郎丸は、苦虫を噛み潰したような顔で、大都、日亜両社の堕落ぶりを嘆く二人のやりとりを聞いていたが、我慢できずに会話に割って入った。

「おい、今、お主らの言っちょるのは作り話じゃないじゃろうな」
「僕らは本社にいませんから、100%間違いないと断言はできませんけど、現役社員の間でそう言われていることは間違いないです。ねえ、吉須さんのところもそうですよね」

 深井の説明に吉須が頷くのを見て、太郎丸が吉須に反撃した。

「村尾みたいな奴を社長に居座らせよってええと思っちょるのか。わしに嫌味を言いよるのは構わんが、お主の会社の大掃除せにゃいかん、と思わんのか。え、どうなんじゃい」「そりゃ、それに越したことないでしょう。でも、村尾の首を取っても、どうにもならないほど、腐っています。それに、僕はもうジャーナリズムなんてどうでもいいし、関心もないんですよ…」
「まあ、待ってください。吉須さん」

BusinessJournal編集部

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