
事実婚、消える法律婚との差?メリットの多さに関心高まる「妻(未届)」
事実婚のメリットは、個人の尊厳や自立という精神的な面もあるが、実生活では、改姓の連絡や事務手続きなどがない点が挙げられるだろう。特に、女性の関心が高い。
もちろん、婚姻届を提出していないのでデメリットもある。配偶者ではないから、配偶者控除などの税金の控除は使えないし、パートナーが亡くなったときに自動的に相続人にもなることはできない。
ただし、上記2つのデメリットには対応法もある。
事実婚を選択する夫婦は共働きで自立している場合が多い。夫婦それぞれに収入があれば、そもそも配偶者控除の利用はないので気にする必要はない。相続については、生前に遺言を書くことで財産を相続させることができる。
また、子どもが生まれた場合でも、最高裁にて非嫡出子の相続分が嫡出子の半分とする民法の規定は違憲との判決が出て、昨年12月5日に民法が改正され、嫡出子も非嫡出子も相続分は同等になった。これにより、法律婚と事実婚の両方で子どもがいる場合の不利益も解消される。
現在の結婚のルールは1948年に施行された民法によるが、今回の改正のように、今後はさまざまなライフスタイルが選択できる時代になるだろう。
ちなみに、筆者も「恋届」を入力してみた。実際にやってみると、入力中は純粋な気持ちになれた。現在「恋愛中」の方も、恋愛から「婚姻届」に進んだ方も、出会ったころの「恋心」を思い出して書いてみてはいかがだろうか。
(文=前野彩/ファイナンシャルプランナー)
●前野彩
CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士をはじめ、NPO法人金融知力普及協会インストラクター、一種証券外務員など、数多くの資格を持ち、マネーに関するセミナー・講演を各地でこなし、各種メディアへの出演実績があり、『ズボラでも大丈夫!書き込み式 一生役立つお金のキホン』『書けばわかる!子育てファミリーのハッピーマネープラン』(ともに日本経済新聞出版社)ほか著書も多数。FPオフィスwill代表。