ビジネスジャーナル > キャリアニュース > 野村證券とリクルート、なぜ人気?  > 2ページ目
NEW
ブラック企業ランキング常連企業をフォローする

野村證券とリクルート出身者、なぜ企業に人気?“キツさ”が有名な企業で働くメリットとは

【この記事のキーワード】,

 これは、「就活のプロ35人」(いちおう、私も入っている)が厳選した、2012年度版「市場価値が高まる優良企業」調査のランキングトップ20企業である。

「市場価値向上」「成長性」「収益性」「労働市場での評判」などを総合的に評価して点数化したもので、ざっくばらんな言い方をすれば、「仕事はキツいが、これらの企業で頑張った人は、労働市場で『優秀』と評価されやすい」というイメージであろうか。

 成長したいという意欲を持って、これらの会社を選ぶのは素晴らしいことだが、実はその「キツさ」についても、一言では表現が難しい微妙なニュアンスの違いがあるのだ。もしこれら企業への就職を目指したい人がいるなら、それが「自分の志向性や価値観に合った『キツさ』なのか?」というところまで検討してから応募することをお勧めしたい。

 世間から「仕事がキツい」と認識されているリクルート、アクセンチュア、そして野村證券。確かにそのイメージは間違いではないが、例えば雪国の人にとって「雪」の表現が多々あるように、ブラック企業界隈の人にとっても「キツさ」はそれぞれ微妙に違う。ぜひ応募前、入社前に、「そのキツさは自分に合っているのか?」と考えていただきたい。

 まずリクルートのキツさは「人を巻き込んで事業を創りだし、そこからさらに数字をつくっていく」キツさだ。

 同社は単なる営業企業ではない。同社の営業の仕事はむしろ「プロデューサー」に近く、顧客の要望(とくに集客や売上向上面)をヒアリングし、そのために有効なマーケティングコミュニケーション戦略を打ち立て、グループ社内のクリエイティブ機能をうまく活用しながら事業として形づくっていくものである。場合によっては、自分より年長のスタッフをマネジメントする必要なども出てくることになり、対人コミュニケーションやスケジューリングなど、全方位的な配慮と行動力が必要になるキツさだ。その点をわかっているかどうかがキーになろう。

 次に、アクセンチュアのキツさは「顧客の期待に応えるばかりでなく、それ以上の水準で設定される上司の期待に応えなくてはいけないプレッシャー」のキツさだ。

 その業界の専門家であるはずの顧客さえ回答が出せない課題に対して、「本当にそれが問題なのか?」とアプローチしていき、創造的な解を出すことがコンサルタントの仕事だ。当然ながら業務量は膨大であり、深夜になってから「明日朝までにレポート提出」などというオーダーが出てきたりする。直属の上司が仕事のアサインを決定し、それによって出世の道が決まっていくため、「顧客より厳しい上司を満足させること」という切り口から、仕事へのコミットメントが大いに鍛えられる環境である。

 最後に野村證券のキツさは「売り上げを上げなくては人でないという環境下で、常に数字を確保していないと詰められる」キツさだ。

 証券営業のノルマは売り上げ額や手数料収入のみならず、会社の「推奨銘柄」をどれだけ売ってくるか、さらには日々の訪問件数目標など多岐にわたる。達成できなければ朝夕の会議で上司から詰められ、その分の数字は支店の他のメンバーが被ることになる。本来は助け合うべきだが、それぞれにノルマもある中ではなかなか厳しい。ストレス耐性は大いに鍛えられるだろう。

 中途で営業職を採用する場合、人材紹介会社内だけで流通するクライアントニーズ情報には「野村證券での営業経験者歓迎」とか「元リクルートの人」といったオーダーが明記されていることもある。このように、企業側から具体的な名前が挙がるような会社での経験は、確かに厳しい面もあろうが、具体的なスキルであるといえよう。(ちなみにアクセンチュアで営業を担当するのはパートナークラスであるため、同社で「営業スキルを高める」というのはお門違いのニーズである)

 仕事のモチベーションを「マッタリした働き方」とか「残業なし」あたりに感じている人にとっては、これらの会社はブラックかもしれないが、やりがいを「得られるスキル」「成長」「給料」などに感じている人にとっては「いい会社」である。

 ブラック企業論議は多様な切り口から考えることが不可欠だ。これからあえてハードな環境に飛び込もうとしている人にとって、この記事が一助になれば幸甚である。
(文=新田 龍/ブラック企業アナリスト、ヴィベアータ代表取締役)

※本稿は、新田龍氏のメルマガ「ブログには書けない、大企業のブラックな実態」から抜粋したコンテンツです。

【筆者プロフィール】

野村證券とリクルート出身者、なぜ企業に人気?“キツさ”が有名な企業で働くメリットとはの画像3
新田 龍:ブラック企業アナリスト 株式会社ヴィベアータ代表取締役
「ブラック企業ランキング」ワースト企業で事業企画、コンサルタント、新卒採用担当を歴任。日本で唯一の「ブラック企業の専門家」として、TVや各種メディアでのコメンテーター、講演、執筆実績多数。著書に『伝説の就活』・『逆転内定』シリーズ、『人生を無駄にしない会社の選び方』『ブラック企業を見抜く技術・抜け出す技術』『就活の鉄則!』など。ビジスパにて、メルマガ「ブログには書けない、大企業のブラックな実態」を配信中。
野村證券とリクルート出身者、なぜ企業に人気?“キツさ”が有名な企業で働くメリットとはの画像4
 有料メルマガ配信サービス「ビジスパ」では、向上心と情報感度の高いビジネスパーソンに向け、ビジネスジャンルのコンテンツ、ビジネスパーソンの関心の高いコンテンツを配信しています。

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

野村證券とリクルート出身者、なぜ企業に人気?“キツさ”が有名な企業で働くメリットとはのページです。ビジネスジャーナルは、キャリア、, の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!