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ANA、なぜ急減速?広がるJALとの業績差、進まないコスト削減、HD制と増資が仇に

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 そんな中、ANAは今年2月14日、14-16年度のANAグループ中期経営戦略を発表した。前回の中計では、15年度の営業利益目標を1500億円としていたが、これを1100億円に下方修正し、最終年度の営業利益目標も1300億円にとどめた。

 発表会の席上、伊東社長は「円安進行や燃油費の高止まりでコストが急増する中、競争激化や単価下落の傾向が継続しており、事業環境が大変厳しい局面にある」と営業利益目標下方修正の理由を説明し、国際線の強化で収益拡大を図る考えを示した。
 
 そして、国際線の強化では、

(1)羽田空港国際線新枠の活用により中長期的に有望な都市への就航を検討する
(2)16年度に国際線の生産量(座席数×運航距離)を国内線と同水準にする
(3)アジアでネットワークの相乗効果が期待できる複数の航空会社などへの出資を検討する

などの計画を示した。

●遅れるコスト削減

 また、ANAは期間中に840億円のコスト削減を実現する。ちなみに前回の中計では1000億円のコスト削減を実現する予定だったが、最終的には860億円にとどまる見通し。中計推進中に持株会社制に移行した影響で、コスト削減が当初計画より遅れているのが原因と説明した。

 この新中計に対しても、証券アナリストは「市場の不信感は強い。国際線の強化策は抽象的だし、コスト削減策も生ぬるい」と指摘する。

「同社はかつてコスト削減の厳しさに定評があったが、今は倒産を経験したJALのほうが厳しい。その結果、投資家にとってANAのコスト削減策は甘く見えて仕方がない」

 一方、ANA関係者は「乾いた雑巾を絞るようなコスト削減努力を続けている」と、次のように強調する。

「ANAは14年から羽田空港など国内主要空港の搭乗ゲートに自動改札機を導入した。従来の搭乗ゲートには少なくとも3人の係員が待機し、乗客の案内などに当たっていたが、自動改札機導入により係員を2人に削減した。14年度中に50空港以上に導入し、年間約4億円のコスト削減を図る。ほかにも、2月から事務用品などの消耗品をグループ全体で購入する仕組みに変えた。これまでは数千社から消耗品を購入していたが、これをアスクル子会社の通販サービス『SOLOEL(ソロエル)』に一本化し、購入業務の無駄を排除した」

 さらに同関係者によれば、同社は今年4月から本社フロアを半分に削減し、入りきらない部門を賃料の安いビルに移転するなどして、13-15年度に賃料を100億円削減するといい、涙ぐましいコスト削減努力の実情を明かす。

 ところが、業界関係者によると、例えば消耗品の購入では、購入を打ち切ろうとしていた相手が大口顧客だったことが判明し、計画通りに一本化が進んでいない。また、本社フロアの半減に伴う、本社部門から営業、空港サービス等フロント部門への人員配置転換、賃料の安いビルへの移転なども大規模な人事異動と相当な移転費が伴うため、計画通り進んでいない。

 さらに、昨年4月の持株会社制移行は、各事業会社が機動的かつ主体的にコスト削減を進めるのが狙いの1つだったが、「以前はトップダウンで削減できたコストが、持株会社制移行により事業会社の都合が優先するようになり、コスト削減のスピードが落ちている」(業界関係者)。

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