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アベノミクスで貧困拡大、生活保護制度改悪で餓死者増?企業優遇で労働環境は劣悪に…

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 このような生活保護受給者バッシングを利用して、安倍政権は生活保護制度を改悪しています。いま日本では、生活保護受給者が約215万人おり、全人口の約1.7%ですが、ドイツは同9.7%に当たる約790万人、イギリスは同9.27%に当たる570万人が生活保護制度を利用していますが、これらの国々ではバッシング報道など起きていません。

 日本では生活保護受給資格のある人のうち、実際に制度を利用しているのは、学者の調査では2割以下です。厚生労働省の調査でも3割くらいです。

 そのために孤立死や餓死が多発しています。昨年5月24日に、大阪で28歳の母親と3歳の男の子の遺体が発見されたと報道されて注目を集めましたが、捜査官の話によると、公共料金の請求書に「おなか一杯食べさせられなくてごめんね」という書き置きがあったといいます。この母子が生活保護制度を利用していれば命は助かったと思うのですが、実際にこういうことが多発しているのです。

 生活保護受給者数は過去最多を更新し続けていますが、受給者が増えている理由は、格差が広がって生活困窮者が増えているにもかかわらず、社会保障が不十分だからです。このような根元的な原因を手直しするのではなく、生活保護受給者をバッシングして生活保護を受けにくくするのは、弱者切り捨ての政策といえます。

 安倍政権はさらに、医療・介護・年金などの社会保障制度全体に変更を加えようとしていますが、それは憲法25条(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)を空洞化させようとするものです。これは低所得者にとって非常に厳しい政策といえ、さらに4月からは消費増税により、ますます格差と貧困を拡大させてしまいます」

●大企業優遇政策

「労働問題では、雇用破壊が進められています。リーマンショック後、派遣切りされた労働者が寮や社宅を追い出されて、貯金を使い果たし、野宿を余儀なくされる人がたくさん出ました。

 私たちは08年暮れから09年始めにかけて日比谷公園にテント村を設置して、野宿者たちの支援活動をしましたが、それが大きく報道されたことで、自民党政権による失政の象徴のようになりました。その後に民主党政権が成立し、不十分ではあったものの労働者派遣法が改正されましたが、今度はまた全面的に派遣労働の規制を緩和しようとしています。

 派遣の場合は、現在は専門26業種に限って期間の制限がないのですが、それを全業種期間の制限を撤廃しようとしています。また、限定正社員制をつくり、正社員でも解雇しやすいようにしようとしているのです。

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