具体的な数字でいうと、12年の観客動員数は116万5933人でしたが、13年には142万5728人に増えました【編註:昨年初優勝した東北楽天ゴールデンイーグルスは8.8%増。プロ野球12球団の中で横浜DeNAベイスターズはトップの伸び率】。レギュラーシーズン終了時の9月末時点でチケット収入は前年比約30%増、グッズ売り上げは約35%増、スポンサー収入は約40%増になっています。

–実際にブランドブックを社員と選手に配布したのは今年に入ってからですが、着想から1年以上たっていますね。

池田 配布するタイミングが重要だと考えていました。社員みんなが変化に苦しんで、新しいことに挑戦して自らも変わろうとしてがんばってきた結果、どうにか2年目に、観客数が大きく伸びて、地元横浜の皆様からも営業努力への評価のお声を頂く機会も増えました。チームも5年ぶりに最下位を脱出し、まだまだですが成長を感じてもらえるようになり、あらためて自分たちが変化し、挑戦してきたことを振り返る意味でも、ブランドブックを配布して意味を感じてもらえるタイミングだと思いました

–社員の反応はいかがでしたか?

池田 “変わる”ということに対して、「まずは前向きに考えてみよう」と理解されるようになったことが、多くの社員の普段の仕事ぶりからもうかがえます。ブランドブックに掲載したアイデアは143件ですが、社員と選手合わせて600件以上ものアイデアが集まりました。私が社長に就任した当初、矢継ぎ早に出す新しい方針や企画に対して、当然ながら戸惑った社員も多くいたと思います。そういう状況から大きくは変わっていなかった1年前ですら、600件以上が提案されたのですから、社員個々において実は根底には、「このままずっと同じじゃいけない」「変えてみたい」という意識があったのではないでしょうか。

●社内のブランドブックを一般向けに書籍化する狙いは?

–御社は「良質な非常識に挑戦する」というコーポレートアイデンティティを掲げていますが、社員の行動原則を明文化したツールなどは、これまでなかったのでしょうか?

池田 理念や行動規範のようなものは、私は目にしたことがありません。この横浜DeNAベイスターズにも、まったく同じにする必要はありませんが、親会社であるDeNAが社員の持つべき姿勢として定めている考え方を当社なりに導入したり、理念や方針を明確にし、当社なりの文化を確立していけばいいと考えています。

–ブランドブックを書籍として発行した目的をお聞かせください。

池田 日本に12球団しかないクローズドな業界にも関わらず、私たちは『地域の絆ビジネス』を生業としていると思っています。だからこそ地域の方々に、地元のプロ野球球団で働く社員が何を考え、どういう思いで仕事をしているのか、ということも可能な限り知ってもらいたい。社員、そして選手が実は、地元の人たちに誇ってもらえる球団とチーム、地元の絆になるために、これからもいろいろなことに挑戦していくことを大切にしている、ということが少しでも多くの方に伝わればと思いました。それに、「アイデアの力」は野球界だけの話ではなく、普遍的なテーマなのではないかと考えたことも、一般発売を判断させていただいた理由です。

●スタジアムを超える

–レギュラーシーズンが始まりましたが、今期の経営テーマとして何を掲げていますか?

池田 「“地域の絆”になるためのマーケティング」に変わりはありませんが、その中でも今期のテーマの1つに「スタジアムを超える」というものがあります。プロ野球興行は来場してもらうというビジネスモデルですが、今年からは広告以外にもあらゆるマーケティングやビジネスモデルで、積極的に「スタジアムの外」に出て行きます。そのひとつですが、今年から無料の事業主・法人会員組織「CLUB BAYSTARS」を始めます。会員の事業主様には、販促ツールや商標利用権、販促企画の実施権利などの提供や、チケットを優待価格で販売するなど、地域の法人・個人事業主とDeNAベイスターズファンの皆様が“地元のプロ野球”を通じて共に盛り上がり、事業の発展や街の活性化につながっていく仕組みづくりに挑戦していきます。

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