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暴走をストップするために(3) 宇都宮健児弁護士に聞く

恐怖の秘密保護法、情報を聞くだけで処罰、国民を重要情報から遮断~日弁連元会長が警鐘

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 しかし、司法の独立という視点に立ち、その問題点を報道したメディアはほとんどありません。最高裁の長官が米大使館に出向き、係属中の事件について大使館関係者に方針を示すなどあってはならないことで、司法権の独立を放棄しているといえます。

 今も同じようなことをしている可能性は否定できませんし、最高裁長官はきちんと話し、釈明すべきでしょう。

 ここまで見てきたように、日本政府が隠蔽してきたことが、アメリカの公文書でわかったのです。

●恣意的な運用が可能となる特定秘密保護法

 重要なのは軍事立法の側面もあることです。情報漏洩については、国家公務員法で1年以下の懲役、自衛隊法では5年以下の懲役という処罰規定を伴って禁止されています。これらの法体系下でも、不祥事はこれまでに数件しか起きていないにもかかわらず、特定秘密保護法を制定し、最高で懲役10年という厳しい罰則を取り入れています。

 1925年に治安維持法ができた時の最高刑は懲役10年でしたが、3年後に改正されて最高刑が死刑になっています。それに照らして考えると、特定秘密保護法も最高刑が、そのうち死刑になる可能性はあります。

 特定秘密保護法は、秘密を漏らす側だけではなく、秘密を得ようとするジャーナリストや市民団体も処罰できます。情報を入手しようと居酒屋などで秘密情報を聞くだけで、共謀罪により処罰される可能性もあるのです。その他、教唆、あるいは扇動も処罰されるようになっています。

『ある北大生の受難』(上田誠吉/花伝社)という本があります。旅行好きの北海道大学の学生がいて、北大で英語を教えていたアメリカ人のレーン夫妻と親しくしていました。その学生が1941年12月8日の日米開戦の直前に、アメリカ人に機密情報を漏らしていたとして逮捕され、逆さ吊りの拷問を受けるのです。そして、軍機保護法違反で懲役15年との判決を受けました。戦後釈放されましたが、取り調べで受けた拷問や酷寒の刑務所暮らしで身体を壊し、27歳で亡くなるのです。後から調べたら、まったくの冤罪だったというものです。

 何が軍機密に当たるかは、憲兵隊や警察など取り調べる側が主導権をもち、簡単に有罪に持ち込んでいます。治安維持法も同様です。特定秘密保護法も国民の耳、目、口を塞いでしまう法律です。

●秘密保護法反対運動は、政権にダメージを与えていた?

 しかし、もし特定秘密保護法を基に、共謀罪その他でジャーナリストなどが逮捕されたら、憲法21条(集会・結社の自由、表現の自由)違反ではないかという立論があり得ます。

 昨年、非嫡出子(婚外子)を差別する民法の規定や、成年被後見人の選挙権を剥奪する規定が違憲である、と判断されました。同じように、特定秘密保護法は違憲であると主張して争えます。特定秘密保護法で1人逮捕されれば、国民的な反対運動が起きる可能性があります。成立したからといって、あきらめてはいません。法律はつくり替えることができます。

 あと3年近くも国政選挙がないかもしれない状況で、どうしたら安倍政権の暴走を止められるでしょうか? まず憲法改悪を許さないこと、それから特定秘密保護法を廃止に持ち込むことが求められます。そのためには、政治的イデオロギー的立場を超えて、どれだけ運動を広げられるかが大きなカギです。

 特定秘密保護法に反対する集会は、十分な準備期間がない中で企画されたにもかかわらず、日比谷野外音楽堂に13年11月21日は約1万人、12月6日の成立直前には約1万5000人集まりました。しかし、もっと増えてもおかしくありません。100万人とか200万人規模の集会ができれば、政権に影響を与えられると思います。反対運動が拡がっていく中でも特定秘密保護法案の強行採決をしたのは、先送りになれば反対運動がもっと激しくなると予想したからです。

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