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「【小説】巨大新聞社の仮面を剥ぐ 呆れた幹部たちの生態<第2部>」第71回

大震災の影響で合併はご破算?~社長の不倫スキャンダルの対応に追われる巨大新聞社

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「3カ月前に合併で合意して、日亜社長の村尾(倫郎)には何でも話していたことは知っているだろう。君の不倫相手の自殺事件だって話したじゃないか。それなのに、合併発表が延期になって先が見えにくくなっただろう。腹いせにリークしているんじゃないかと思ってな」
「いや、それはないんじゃないでしょうか。うち関連の写真は2月末のものです。ほら、社長が僕らを『美松』に呼び寄せ、新媒体の立案を指示した晩ですよ」
「実は『深層キャッチ』の記事、読んでいないんだ。あんなの、読む気にもならないぜ。君だって同じだろう?」
「おっしゃる通りです。僕だって、大昔の不倫のトラブルを書かれているんですから。でも、読まないわけにいかないじゃないですか」

 北川は松野の告白に少しむっとしたが、すぐにその色を消し、続けた。

「社長ですから、お読みにならなくてもいいです。我々がちゃんと支えます。でも、今、申し上げましたように、日亜サイドのリークで載ったわけではないような気がします」
「村尾が裏で糸を引いているに違いない、と直感したんだがな。2月末に撮影したというなら、君の言う通りかもしれん。でもな、村尾は陰険な男だぞ。油断は禁物だ」
「ええ、それはわかっています。ただ、『深層キャッチ』は日亜の村尾さんや小山(成雄・編集局長)君のことを取り上げています。それを考えると、それは疑いすぎじゃないでしょうか」
「いや、村尾の不倫は業界じゃ有名な話だし、小山君の前の奥さんの自殺未遂騒動はロンドンのシティの邦銀を巻き込んでいる。その取材が入ったんで、村尾がその影響を薄めるため『うちだけじゃなく、大都さんも取材してよ』とリークした可能性はあるだろう」
「ええ、その可能性はあるかもしれません…」
「そうだろう。俺の話はうちの中で囁かれている程度だし、君のことは俺だってよく知らなかった。それが表沙汰になったんだからな。『何かある』と勘繰るのは当然じゃないか。君も随分、お人よしだな」

 『日亜リーク説』にこだわり続ける松野には村尾への敵意のようなものが感じられた。『二人はツーカーだ』と思い込んでいた北川は当惑した。

「でも、大地震でしばらく棚上げになりましたが、いずれ、うちと日亜は合併するわけでしょ。あまり疑うと、信頼関係が壊れる恐れもあるんじゃないでしょうか」
「あのな。もう、日亜との合併はないんだ」

 北川は目を丸くした。あまりに平然と松野が想定外の回答をしたからだ。

「え、合併はもうないんですか? だって、社長は『しばらく様子をみるので、発表は延期するが、経済情報の新媒体の構想は落ち着いたら小山君と早急に詰めてくれ』と言われたじゃないですか。確か、大地震の1週間後だったですよね」
「確かにそう言った。だが、あの時、俺は『もう日亜と合併できない』と判断していたんだ」
「そのことは村尾さんにも話したんですか」
「いや話していない。向こうから何も言ってこない限り、うやむやになるだけだ」
「新媒体の方も何もしなくていいんですか」
「それは君と小山君でいい案ができれば、やればいい。少しは作業をしているのか」
「まだ、手付かずです。大地震から2カ月半以上たちましたから、そろそろやろうか、と思っていたところです。でも、村尾さんと何かあったんですか」

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