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事実婚に形式婚と同様の法的地位を認めない限り、少子化の進行は止められない理由

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民法770条第1項:「夫婦の一方は、(中略)離婚の訴を提起することができる。
 1号 配偶者に不貞な行為があったとき」

 今度は、「不貞行為とは、具体的にどのようなものか」が問題になってくるのですが、民法には定義されていないので、判例を調べてみました。

 おおまかにまとめてみますと「(a)配偶者のある者が、(b)自由な意思に基づいて、(c)配偶者以外の異性と、(d)性的関係を持つ」ことをもって、不貞行為の成立としているようです。

 判例では、「一度だけの性的関係」「酔った勢いの性的関係」「風俗店での性的関係」も、原則としてすべて不貞行為と認められています。

 一方、「強姦等の犯罪被害」は当然として、「肉体関係を伴わない異性との関係」「同性間の性行為」では、不貞行為と認められていません。

「たった1回の過ちで?」と言いたい方もいるとは思いますが、それなら「では、何回の性行為ならセーフ?」と逆に問われると、困りますよね。

 裁判所も、「たった1回の過ちでもアウト」と決めてしまえば、全部のケースに適用できて、判断が楽でしょう。

 なお、「同性間の性行為ならセーフ」という考え方は、同性婚が世界的に容認されつつある昨今の状況により、今後は判断が変わっていくかもしれません。

 いずれにしても、「浮気=不法」の法定の趣旨は、「パートナーに裏切られたかわいそうな妻または夫への救済と報復手段の提供」のほかに、我が国の基盤を破壊する者に対する「お上による制裁」という意味も含んでいることを覚えておいてください。

●その2…結婚すると、「家」に乱入できます

 現状の「家」を管理単位とする戸籍制度の考え方からすれば、結婚というのは「家」への乱入行為です。

 結婚しても、パートナーの財産が自分のものになるわけではありません(民法762条1項)が、資産家の家への婿/嫁入りすれば、パートナーの死後には、その遺産の一部を相続することができます(民法900条)。

 婚姻届一つで結婚が成立し、そのパートナーの死後に遺産相続等のトラブルが生じた場合、一定の権利を法律が保障してくれます。

「僕/あたしのどこが好きなの?」→「あなた/君の持っている『お金』が大好きなの」という結婚の動機は、結婚の制度趣旨に反しません。「あなたの給料を、一生あてにしたいの」「あなたを使って、私の老後を担保したいの」も、もちろんオーケーです。

 今でこそ「結婚には愛が不可欠」と思われているようですが、この考え方自体、歴史的には、相当にアバンギャルド(前衛的)なのです。現行法(民法)においても、「結婚には愛が必要条件」などとは、どこにも記載されていません。

 また、逆にいえば、この結婚制度を使わないと、あなたがどんなに愛と誠意でパートナーに尽くしたところで、それは「親切な赤の他人のボランティア活動」にすぎません。遺産相続等でトラブルになった場合、実質上の夫婦であったことを法廷で立証しなければなりません。その費用や時間(10年以上に至ることもある)の負担は甚大ですし、そして勝訴する保証もありません。一方、婚姻届を提出するには、市役所が混んでいなければ、待ち時間を合わせても3分間もかからないでしょう。

 繰り返しますが、結婚制度の公益面は「国家基盤の維持」にあります。「パートナー間の愛情」の有無は、私たちにとっては重要な問題ですが、お上にとってはどうでもいいことなのです

●その3…結婚しない場合、子どもに不利益が発生する場合があります

 非嫡出子(法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子)に対して、その父が自分の子であると認め、法律上の親子関係を発生させるための「認知」という届け出を行わないと、父の死亡時にその子どもは遺産を相続できません。

 これに対して、結婚制度を使えば、このような面倒がなくなります。

 余談ですが、認知はあくまで法律行為であって、遺伝的に父親であるかどうかは問題となりません。

 従って、例えばシングルマザーの女性から「この子の父親になってくれないかな?」と相談された時に認知すれば、即時その子の父親になれます。

 但し、その認知は取り消しできません(民法785条)ので、注意が必要です。

BusinessJournal編集部

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