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事実婚に形式婚と同様の法的地位を認めない限り、少子化の進行は止められない理由

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●その4…結婚すると、夫婦間のトラブルに法律が介入してくれないことがあります

 こうして見てくると、婚姻制度は利点ばかりあるように思えますが、実はそうでもないのです。

 夫婦間のトラブルには、原則として「法(国家)は介入しない」とする法律があるのです。

 例えば「夫婦間の契約取消権(民法754条)」がその一つです。

「今年の夏に、海外旅行に連れていくからね」
「あなたは口約束ばっかりだから、契約書を書いてもらうわ」
「いいよ」

と、弁護士を仲介した正式な契約書を作成したとしても、夫婦間ではその契約を取り消すことができてしまうのです。

「将来、宇宙旅行に行くぞ」「俺は将来IT関連の社長になって、お前を専務にする」などと夫婦は無謀な約束をしますが、これを真に受けて、いちいち訴訟を起こされては裁判所としてはたまったものではありません。

 そこには、夫婦の間に社会一般の法律関係を持ち込むのは、面倒を増やすだけ、という考え方があるようです。

 それと、「結婚生活のための借金は、パートナーにも連帯責任」が発生します(民法761条)。衣食住の生活資材の購入や、子どもの養育に必要な借金には、パートナーにも返済義務が生じます。

 しかし、パートナーがギャンブルなどでつくった借金は含まれませんので、そういう債権者が自宅に押しかけてきても、「私に支払い義務はありません」と突っぱねることができます。

●その5…一方の都合だけでは離婚できない

 正直なところ、パートナーの一方が反対している時は、離婚は極めて困難です。パートナーが同意しなくても離婚できる理由は、民法770条1項に列挙されています。

(1)パートナーに「不貞行為があった(同1号)」
(2)「わざと、同居、協力、扶助(前述の民法752条)をしなかった(同2号)」
(3)「3年間音信不通だった(同3号)」
(4)「結婚生活が維持できない程度の重度の精神病(躁鬱病、偏執病等)である(同4号)」
(5)「その他重大な理由(性格の不一致,性的不能,性交渉がない,変態的性癖,浪費,犯罪者,病気,虐待,宗教にのめり込んでいる,暴力をふるう)があった(同5号)」

 例えば、パートナーに対して「足が臭い」「肥満が見苦しい」「まったく出世しない」などの不満を持っていたとしても、それを理由として裁判所が離婚を認める判決を下すことは、ありません。

 それにしても、結婚に実体的要件がほとんどないのに、離婚(不合意)の時にだけ、このような条件が課せられるのは、なんとなくバランスが悪いように感じます。

 離婚時の要件を何も法定しないで、「当事者間でなんとかしろ」という運用もできたと思うのです(後述します)。

BusinessJournal編集部

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