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消費者金融、なぜ息吹き返す?横行する借り手の申請書類偽造、ノルマ優先で甘い審査

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 銀行消費者金融業者も、内心、「この人は自営業と称しているが、実際はフリーターだろうな」と感じていても、確定申告書に個人事業主として屋号も表記され、かつそれなりに収入があるのならば、それを信用して融資する現実がある。

「仮に、確定申告書の写しが偽造であったとして、それが発覚した時には偽造したお客の責任。融資をした担当者は詐欺被害者でしかない」(同)

 あるフリーター男性は、消費者金融で融資枠一杯まで借り受け、さらに銀行ローンを利用したが、収入は増えず、消費者金融と銀行への返済が難しくなった。そこで、確定申告書に記載する額を実際の年収額よりもかなり上乗せし、この確定申告書を基に消費者金融と銀行に融資枠の見直しを求めたところ、融資可能額は大幅に増加したという。その時のことをこの男性は次のように語る。

「融資枠が増えて一時的には助かったが、国民健康保険料や市県民税額が跳ね上がったので、支払いに難儀した。やむを得ず翌年の確定申告書は、さらに収入を水増しして提出した。銀行や消費者金融に提出する書類を偽造するのは気が引けるが、確定申告の際に収入を過大申告するのは比較的やりやすい」

 消費者が、まず消費者金融で借り、その後に銀行系のローンを利用する。そして確定申告時、収入を前年よりも過大に申告する。この時の確定申告書の写しを消費者金融と銀行に提出し、融資可能額を上げてもらっている流れが見えてくる。このような不正な手口は珍しいことではないと、前出の消費者金融社員は言う。

「今は銀行より消費者金融のほうが提出する書類も多く敷居が高い。だからあえて先に消費者金融から融資を受け、これを毎月きちんと返済していれば信用が上がる。この信用を基に銀行で『借り換え』目的でローン商品の審査を申し込めば、ほとんどの審査は通る。銀行の下請けである消費者金融業者にもノルマがあるため、『できるだけ借りてほしい』というのが本音だ」

 果たして、こうした個人レベルの“粉飾”がいつまで続けられるのだろうか。景気動向に回復の兆しが見えてきた今、銀行・消費者金融側も手を打たなければ、もし景気が冷え込むような状況になった時に、かつてアメリカで起きたサブプライムローンショックと同様の事態が日本でも起こる可能性がある。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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