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祝日「山の日」、5年越しの制定の舞台裏 多くの団体や議員が関与、高い経済効果も

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 全国の団扇(うちわ)、扇子(せんす)、カレンダーのメーカーおよび専門販売店260社余りが会員となっているという全国団扇扇子カレンダー協議会(全協)の事務局・松原順氏は次のように語る。

「全協は、ある意味中小企業の集まりなのですが、カレンダーに関しては1年以上かけてコツコツと卓上や壁掛け、日めくりなど1800種類も各社がつくりこんでいく、そのお手伝いをしています。新たな祝日が制定された場合、すべてのカレンダーに正確に反映させるために十分な準備期間が必要なのです。今回の2年後に施行というのは、結構ぎりぎりのタイミングなのです」

 松原氏は、このように祝日制定を2年後にこだわるのは、カレンダー業界の過去の苦い経験があるからだという。

「00年に、4月29日を『みどりの日』から『昭和の日』、5月4日を『国民の休日』から『みどりの日』と変更する祝日法改正案が通常国会に提出されたのですが、当時の森喜朗首相が『神の国』発言をしたことで民主党など野党が強く反発し、与党からも慎重審議を求める声が強まり、廃案に追い込まれたことがありました。その時、法案が通過すると想定していた業界は、振り回される結果となりました。最近のカレンダーは、前後の月をカレンダーの端に入れているものも多いので、祝日が1日増えると、1枚差し替えするだけでは済まないんです。また、情報が入り混じってしまうと、消費者は当然正しいものが欲しいとなりますので、商品そのものの差し替えをしなければならなくなるなど、大混乱が起きてしまうのです」

 ちなみに、全協では、毎年3月末から4月にかけて、1800種類のカレンダーを並べた展示会を開催している。

「政治家の方からは『秋頃からつくるんでしょう?』などと言われるのですが、翌年のカレンダーは、3月にはでき上がっているんです。ですから、15年から施行だと、私たちのつくったカレンダーは、全部ゴミになってしまうのです。2年後の施行で本当にほっとしています」

●「山の日」制定によって、「山ガール」がさらに増殖する?

 前出の「東京会議」の後、「『山の日』制定協議会」は、山岳5団体の代表が呼びかけ人となって、「全国『山の日』制定協議会」へと拡大した。超党派議員連盟の代表、地方自治体の首長有志、経済界の賛同者、学者・有識者が加わり、8月11日を「山の日」と定める祝日法改正案が国会に提出された。今国会中に成立すると、その後はどのような運動をすることが決まっているのだろうか?

「全国『山の日』制定協議会」事務局長の磯野剛太氏に話を聞いた。

「『山の日』は、あくまでシンボルです。日本は海と山の国なので、山を通じて環境や資源の問題、森林、水の問題から各種スポーツ、レジャーまで含めて、全体的に山について盛り上げるような運動をしていきます。それとともに、山が抱える重要な問題、森林の荒廃や水資源の確保、東北の除染についても取り組んでいきます。

 また、最近はタレントがヒマラヤ登山を行ったりしますが、そういった方たちにお願いしてアピールしていくことも含め、これから芸能人やアスリートの皆さんに声をかけていきます。一方、すでにICI石井スポーツや好日山荘、モンベルなど登山用品の販売店やメーカー各社が協議会の会員になっています。今後、イベントなどを共催できればと考えています」

 ところで、「山の日」を制定することによって、どのくらい経済に影響があるのだろうか?毎年3月に「スポーツ産業白書」を発刊している矢野経済研究所のファッション・スポーツ、リテールグループ・家中茂稔氏は、次のようにその経済効果に期待を寄せる。

「『スポーツ産業白書』の中のアウトドア用品市場は、08年以降一貫して1ケタ後半近くの割合で伸びてきています。これは09年以降メディアで『山ガール』が注目されたように、登山やキャンプに参加する若い女性が増えてきた影響があると思います。登山は、一度経験するとリピーターになる人が多いです。東京近郊であれば、ピクニックもできる高尾山に登った後、もうちょっと遠い所、高い山へ登りたくなるものなのです。そうすると装備も本格化していきます。そして買い増し、買い替え需要が生まれてきます。このように新規参加者が増えています。そこに『山の日』が制定され、イベントやセールが増えてくると、これまで以上に初心者が増えてくるでしょう。山登りの道具は、『安かろう、悪かろう』では命にかかわるので、品質の良い物を求める傾向にあり、マーケットの底支えをしてくれると思います」

「海の日」「山の日」が制定されたことで、「空の日」が制定される予定はないのか気になるところだが、調べてみると、すでにあるらしいことがわかった。国土交通省航空局のホームページによると、1940年に制定された「航空日」が始まりとなり、92年に9月20日を「空の日」とし「空の旬間」(9月20日から30日)が設けられ、この期間には、全国各地の空港等で航空に関するさまざまな催し物が開催されているという。いつの日か、「空の日」も国民の祝日となるだろうか。
(文=大坪和博)

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