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闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第15回

日本HP、不当解雇判決後の社員に病院検査を受けさせ、「要治療」と無給休職を命令

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 こうして時は流れ、有給休暇が切れてから40日以上が経過した08年7月下旬、人事統括本部から「貴殿は、会社が認める正当な理由がなく、08年6月上旬以降、勤務を放棄し、欠勤しています。理由なき欠勤は、貴殿が会社に対して負っている労務提供義務についての著しい違反となり、このままの状態がさらに続くと、最悪の事態を招くことにもなります。よって、会社としては、直ちに出社し就業するよう命じます」と連絡が来た。

 K氏としては、「理由なき欠勤ではなく、日本HP社員として当然の権利を行使したにすぎない」との認識だったため、命令に応じ出社したところ、会社はK氏に対し「欠勤に対して賞罰委員会を開催し、処罰を検討する」と通知した。ちなみに、同社の就業規則には「欠勤多くして、不真面目なとき、および正当な理由なしに無断欠勤引き続き14日以上に及ぶとき」は労務提供義務違反に当たるとしている。

 それから3週間後、「40日に及ぶ欠勤に基づいて、諭旨退職」とする処分が下った。

●解雇無効の判決

 これに対しK氏は、不当解雇であるとして解雇撤回を求め、会社を訴えた。一審判決ではK氏が敗訴したが、11年1月26日、二審で逆転判決を勝ち取った。

 その判決文では、嫌がらせについて、周囲の従業員に対する聞き取り調査、K氏が会社に提出したICレコーダに録音したデータのいずれの調査によっても、K氏が申告した被害事実は確認されていないとして、K氏の訴えを退けた。つまり、裁判所は、K氏の被害妄想、と判断したといえる。

 しかし、その上で「控訴人(K氏)の欠勤に対して、精神的な不調が疑われるのであれば、本人あるいは家族、被控訴人(日本HP)のEHS(環境・衛生・安全部門)を通した職場復帰へ向けての働きかけや精神的な不調から回復するまでの休職を促すことが考えられた。精神的な不調がなかったとすれば、控訴人が欠勤を長期間継続した場合には、無断欠勤となり、就業規則による懲戒処分の対象となることなどの不利益を控訴人に告知する等の対応を被控訴人がしておれば、6月4日から7月31日までの約40日間、控訴人が欠勤を継続することはなかったものと認められる」として、「懲戒事由(無断欠勤、欠勤を正当化する事由がない)を認めることはできず、本件処分は無効というべきである」との判断を下した。

 要するに、K氏が精神的に不調で欠勤しているのはわかっていたのだから、会社はK氏を病院に行かせるなりのフォローをし、処分の前には事前告知をすべきというわけである。ちなみに、この判決を下したのは東京高裁第11民事部の岡久幸治裁判長だ。

 その後、12年4月27日、最高裁も高裁同様の判決を下した。

●司法判断に従わず、休職勧告

 こうしてK氏は、解雇処分以降の賃金が支払われ、晴れて復職することになる、と思われたが、13年9月24日、K氏が厚労省の記者クラブで開いた記者会見によると、最高裁判決後、K氏は次の事態に直面していた。

 まずK氏は、日本HP側から「精神的不調があるか否かを確認したい」といわれ、病院で診察を受けた。東京都内の心療内科で頭部CT、脳波心理検査、近赤外光によるNIRSの脳機能計測などで検査し「精神疾患はない」との診断を得た。

 さらに、日本HP側はK氏を産業医と面談させた後、都内の医大で受診するよう指示。その際、会社は医大側に最高裁までの経緯を説明した上で「会社としてはK氏の職場復帰は難しいと判断しているが、その妥当性について、ご意見をうかがいたい」と申し入れていた。

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