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大手新聞2社、社長の不倫を暴露した週刊誌を提訴~水面下で合併交渉再開

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 下座に待ち構えていた烏山と松野の二人が腰を浮かして出迎えると、富島が嬌声を発した。

「富島君。そんなたいしことないわな。日本を代表する大企業なら、本社ビルの他にこんな施設、どこだってもっとるぜ。それにじゃな、君らもここを自由に使えるようになるは時間の問題じゃろ。合併するんじゃからな。そうじゃろ、松野君」

 喜色満面の烏山は左隣に目をやった。冒頭から厄介な問題を振られた松野は戸惑った。大震災後に日亜との合併を白紙に戻すと心に決めていたが、烏山に耳打ちしていなかったのを悔いたが、後の祭りだった。とにかく、周囲に「烏山には一生、足を向けて寝られない」と漏らすこともあり、松野は烏山の前では「蛇に睨まれた蛙」なのである。

「…ええ。そうですね。大震災以来、この3カ月近く、両社の編集局長二人で極秘に進める手筈だった準備は中断していましたが、これをきっかけに再開しようかと思っていたところです。どうだろう?」

 松野は真面目くさった顔つきで対面の村尾を覗った。

「僕もそろそろ、と考えていたところです。確か、大震災の1週間後に先輩と電話で話した時、『再開する時は僕の方から連絡します』と答えたはずでした。今日、話し合う訴訟案件が片付いたら、僕の方から持ちかけるつもりでした。順序が逆になってしまい、申し訳ありません」

 村尾は座椅子をずらし、正座して畳に手をついた。得意技なのだ。そうなると、電話で合意したはずの合併条件について再検討をほのめかした村尾に怒り心頭だった松野もへなへなになってしまう。

「おい、そんなことまですることないだろう。そんなつまらんこと、気にするな」

 苦笑いを浮かべた松野は村尾に座椅子を元に戻し、座り直すように促した。そして、隣の烏山を覗いながら続けた。

「とにかく、合併の基本条件では大震災の直前に合意しています。あとはうちの北川君と日亜の小山君の間で、詳細を詰める段取りでした。そうだよな、村尾君」
「先輩のおっしゃる通りです」

 松野に同意を求められた村尾はかしこまった調子で頷いた。

「で、どうなんじゃ。来年4月に間に合うのか」

 松野と村尾のやりとりを聞いていた烏山が質すと、松野が引き取った。

「3か月近く、空白になりましたからね。合併とセットで考えている新媒体の準備が整うかどうか。どうだい? 北川君」

 突然、振られた北川は口ごもった。もちろん、松野から「合併は白紙」と本心を吐露されていたので、松野の豹変ぶりに唖然としていたところもあった。だが、それはいつものことで、口ごもった原因ではなかった。今後の話し合いがどうなるか、皆目、見当がつかなかったからだ。

「まだ、新媒体の打ち合わせは手つかず、です。年内に具体案が固められるかどうか、自信はありません。すぐに着手しますが、小山さんはどう思います?」

BusinessJournal編集部

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