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回転寿司最大手スシロー、なぜ成長鈍化&客数減?大株主交代と人材流出で迎えた岐路

福井晋/フリーライター
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 ところが、07年3月、豊氏とその家族が牛丼チェーン大手のゼンショーホールディングス(以下、ゼンショー)に持ち株を売却し、ゼンショーがスシローの筆頭株主(保有率27.2%)になった。豊氏が持ち株を売却したのは、義雄氏主導で進められた吸収合併に不満だったからといわれている。

 筆頭株主になった当時のゼンショーは、カッパの筆頭株主(保有率31.2%、その後カッパ株は売却)でもあった。「このままでは回転寿司に進出したゼンショーに母屋を乗っ取られる」と危機感を抱いたスシローは、証券会社を頼りにホワイトナイト探しに奔走する。その結果、見つけたのがユニゾンだった。豊氏による持ち株売却から5カ月後の07年8月、ユニゾンは水産大手の極洋と共同でスシローの第三者割当増資に応じ、ゼンショーの防波堤役になる。

 しかし、「これで一件落着」とスシローが胸を撫で下ろしたのも束の間、今度はユニゾンがスシロー株のTOB(公開買い付け)を実施し、ユニゾンは08年11月、スシロー株の64.1%を取得した。その結果、スシローはユニゾンの子会社となり、09年4月には上場廃止に追い込まれたが、ユニゾンから出向した経営陣を中心にスシローの経営改革が進められ、業界最大手に成長した。
 

●キャリア組の相次ぐ退社

 投資先を成長させ、企業価値が高まれば売却するのが投資ファンドのビジネスだが、ユニゾンも例外ではなかった。12年9月、ユニゾンはスシロー株(全株の81%)を英投資ファンドのペルミラに約10億ドルで売却し、これによりユニゾンは約540億円の売却益を得たと見られている。同時に、ユニゾンから出向していた経営陣は、転籍していた加藤氏を除き、全員がスシローから引き揚げた。

 大株主の交代は、スシローの経営に影響を及ぼした。まず業績面に変化が現れた。同社は株式を上場した03年9月期以降、売り上げを毎期2桁増のペースで伸ばしていたが、ペルミラに転売された13年9月期は前述どおり7.1%増にとどまり、上場以降では最低の伸び率になった。

 次に情報開示に消極的となり、「社内で何が起こっているのか外部から見え難くなった」とメディア関係者はいう。そして、加藤氏の退社と前後して、ユニゾン子会社時代の成長戦略を支えてきた途中入社のキャリア組もほとんど退社したといわれ、経営部門の人材不足が取り沙汰されている。

 これについて、業界内では「成長先細りの会社で、経営コンサル畑の加藤氏は能力を発揮できなくなった」「途中入社のキャリア組は、生え抜き組ほどの愛社心はない。そこへ将来性が危うくなった現状では、自分のキャリアを高めようがない。それでスシローに見切りをつけた」などの憶測が飛び交っている。

●豊崎社長の決意

 こうした状況について社長の豊崎氏は、現時点では口を閉ざしたままだ。豊崎氏は高校卒業後、辻調理師専門学校で調理技術を学び、84年4月に「鯛すし」へ就職(同年6月、新会社の「すし太郎」へ転籍)。ここで寿司職人としての素質を見抜いた創業者の義雄氏に目を掛けられ、厳しくしごかれて成長した。業界では「トロを1ミリ単位で切り分けられる一級の寿司職人」としても知られている。そして、取締役営業部長時代の「ゼンショー撃退」で経営者としての頭角を現し、09年6月から現職に就いている。

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