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ソニー、なぜ“緩慢な自殺”進行?パナとの明暗を分けた危機感の欠如と、改革の学習経験

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
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ソニーに欠如する危機感

 私はパナソニックと同じかそれ以上にソニーを取材してきたが、正直、ソニーの社員の誰からも、「会社が潰れるかもしれない」という痛切な言葉は聞いたことがない。存亡の危機にあるにもかかわらず、パナソニック社員に比べてソニー社員に危機感がないのは、エリート意識が邪魔しているからではないかと思う。笛吹けど踊らず――である。そのことをいえば、社員以上に経営陣から危機感を感じたことがない。経営陣の危機感の欠如は、かねてから不思議でならないのだ。ソニーの役員を見ていて感じるのは、彼らは“ソニーの役員”を演じているだけで、“プロの経営者”の役割を少しも果たしていないことだ。

 実際、社外取締役をはじめとする日米ソニー役員の顔ぶれを見れば、必要以上に豪華なキャストが揃い、多額の報酬が支払われている。いまだにストリンガー氏の弟がコロムビアレコード会長として残るなど、ストリンガー時代の残党が生き残っている。これでは、末端の社員に危機感が行き渡らないのは当然であろう。

 ソニーは今、緩慢なる自殺への道を一歩一歩、進んでいるように思われてならない。その歩みは、日本経済が「失われた20年」の間、徐々に世界的な地位を落としていった歩みとかぶって見える。戦後の混乱の中から生まれ、世界的ブランドへと一気に飛躍したソニーの成功物語は、日本人の誇りであった。その宝は、このまま損なわれてしまうのか。「改革」を後回しにしてきたソニーは、もはや立ち直ることはできないのだろうか。ソニーの経営陣が頼りにならない以上、いまこそエリート意識を捨て去り、社員が立ち上がるべきではないのか。ソニーの改革は、そこからしか始まらないのではないか。今度の危機は、その「改革」を起こす最後のチャンスである。

 ソニーの再生が一筋縄ではいかないことは確かであるが、だからこそソニーの再生に期待がかかる。どん底まで落ちたソニーの再生は、一企業だけの成果にとどまらず、日本全体に勇気と元気を与えるに違いないからだ。

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