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メガバンクの“異質な”人事、どう決まる?派閥抗争、旧行意識…三菱UFJ会長退任にみる

文=編集部

 沖原氏はUFJ銀の最後の頭取として、合併を機に退任するものとみられていたが、05年10月、合併で発足した三菱UFJ FG常務執行役員にとどまり、翌年1月には副頭取に就いた。08年4月には三菱東京UFJ銀の副会長に就任。これは“上がりポスト”だが、持ち株会社の三菱UFJ FGの取締役を経ないまま、いきなり会長に起用されたのだ。会長は旧UFJ銀、社長は旧三菱東京銀の指定席といわれた。10年6月に退任した玉越会長は旧UFJ銀出身のため、沖原氏にお鉢が回ってきた。もともと沖原氏は実務派であり、主導権を握る旧三菱銀にとって御しやすい人物に映っていたことが幸いした。

 こうした三菱UFJ FGは、旧UFJ銀の沖原会長、旧東京三菱銀の社長の体制となったが、幾多の失脚の危機を乗り越え、巨大金融グループの頂点に上りつめた沖原氏のバンカー人生は、「まことに強運というほかはない」といわれている。

●グループ企業の人事にも広く影響

 6月末の株主総会では、グループの証券・カード会社の社長も交代する。いずれも三菱UFJモルガン・スタンレー証券の豊泉俊郎社長が退任し、後任には長岡孝・三菱東京UFJ銀副頭取を迎える。銀行でリテールや法人部門のトップを歴任した長岡氏のもとで営業体制を強化する。長岡氏は三菱UFJ証券ホールディングスの社長も兼務する。

 クレジットカード大手の三菱UFJニコスは、和田哲郎社長が退き、井上治夫・三菱東京UFJ銀常務執行役員が社長に就任。井上氏はニコスの経営企画本部長を務めた経験がある。過払い金の返還のメドがついた三菱UFJニコスは銀行系カード会社として、この強みをどう生かすかに挑戦する。

 国内最大のカード会社JCBは、社長に三菱UFJ FGの浜川一郎専務を迎え、川西孝雄社長は代表権のある会長に就く。JCBの主要株主は旧三和銀だった関係で歴代社長に旧三和銀出身者が就いており、浜川氏も同行出身だ。当初、園氏が社長に就任するとみられていたが、グループの実権を握る永易克典・三菱東京UFJ銀会長が沖原氏の後釜に園氏を据えることを決めたため、代わりに浜川起用で落ち着いた。

 JCBは旧三和銀、旧東洋信託銀と旧日本信販(現三菱UFJニコス)の3社が出資母体となって61年に発足した歴史がある。今やJCBに対する三菱東京UFJ銀の出資比率は7%にまで落ちたが、それでも旧三和銀出身者が社長になるわけだ。

 以上みてきたように、メガバンクの人事は、社内派閥抗争や合併母体となる旧行意識、さらには金融庁の意向や運などが複雑に絡み合いながら決まっていく。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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