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兵庫県と神戸市、阪神大震災の復興住宅入居者に突然の退去命令、孤独死増加の恐れも

文=山口安平/ジャーナリスト
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兵庫県と神戸市、阪神大震災の復興住宅入居者に突然の退去命令、孤独死増加の恐れもの画像1「神戸市 HP」より
 2011年の東日本大震災から3年が経過した今、教訓にしなければいけない出来事が、1995年の阪神・淡路大震災から19年たった兵庫県・神戸市で起きている。天災ではなく人災による“復興災害”と呼ぶべきもので、そのひとつとして、兵庫県や神戸市などの自治体が民間から借り上げた復興住宅で、住民が「20年の期限が迫っている」として退去を迫られている問題がある。

 民間事業者などが建設・保有する住宅を、自治体が借り上げることにより供給された災害復興住宅(借上住宅)に、多数の被災者が神戸市内を中心に入居している。借り上げを実施した自治体は兵庫県、神戸市、芦屋市などで7711戸。その中でも兵庫県と神戸市が大半を占め、兵庫県が3120戸、神戸市が3952戸となっている。

 借上住宅は96年の公営住宅法の改正によって、民間住宅ストックを活用した公営住宅の供給方式として導入。同年4月に全国で初めて実施され、居住者によって差はあるが、2015~23年の間に契約期間が20年を迎えようとしている。

 建物自体は大家や都市再生機構(UR)などの民間事業者が建設するため、従来の公営住宅と異なり、自治体側には建設コストがかからない点が最大のメリットだ。

 しかし、神戸市や兵庫県などの自治体は契約更新を行わず、住民に対して退去を迫っている。借上住宅への入居を促したのが神戸市や兵庫県の自治体であれば、退去を迫っているのもまたしかりという、極めて奇妙な事態が起きている。

●実は、神戸市が賄える予算規模の範囲内

 矢田立郎前神戸市長は10年11月29日の市議会で、「借上復興住宅は大災害の中で、市としてあらゆる手を尽くして確保したもの。返還の契約を守るべきだ」と答弁した。

 10年4月に発表された「第二次市営住宅マネジメント計画」には、「震災後の一時的な需要増に対して臨時的に供給した借上住宅については、計画期間中に順次契約期間満了を迎えるため、入居者の住み替えや一般募集の影響などに留意しながら所有者への返還を進めていく」と書かれていた。また、住み替えを促す理由について「市営住宅会計が厳しい収支不足の状態が続いており、将来を見据えた健全化が不可欠」「年間35億円が借上住宅の借上料となっており、これらが管理事業費を著しく圧迫している」と述べている。

 だが、兵庫県震災復興研究センター事務局長の出口俊一氏は、神戸市が契約打ち切りを決定した理由について以下のように批判する。

「神戸市が住民を追い出したい最大の理由はお金です。ただそれだけです。マネジメント計画には借上料が35億円もかかっていると書いてありますが、この35億円が独り歩きしていきました」

 借上住宅は、入居者の家賃、国費である国庫補助と税源移譲相当額、そして神戸市の負担額で構成されている。35億円は、それらすべてを合計した数字だった。神戸市の負担額は年間約14億円だった。

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