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ローランド、創業者が突然のMBOに猛反発「ファンドによる乗っ取り」株主に不利益も

文=伊藤歩/金融ジャーナリスト
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 それなのに、三木社長とヘイウッド氏の2人だけが出席した5月14日のMBO公表会見の席上で、三木社長があたかも私から了解を得ているかのような発言をしたと新聞で報道された。私にはまったく取材がないまま三木社長の発言がそのまま載ったわけで、すぐに新聞社に抗議した。

–MBOに反対する理由は?

 明らかにTAIYOによるローランドの乗っ取りだからだ。電子楽器事業は長期的な視野を必要とし、規模を追うべきではない。ローランドを上場させてみて、電子楽器事業は上場に適さないということは私も実感はしていた。だが、ローランドは有利子負債残高を現預金残高が上回っており、実質無借金だ。ファンドの力を借りる必要などまったくないし、今このタイミングでMBOをやる意味もない。

 ローランドは優良子会社のDGの株式を4割保有している。私はずいぶん前から、DGとローランドの株価と業績を見比べながら、適切なタイミングが来る都度、DG株式を売却して資金をつくり、それを電子楽器事業に充ててはどうかと経営陣に進言してきたが受け入れられず、その結果、典型的な株価のねじれ現象(上場親会社の時価総額が上場子会社の時価総額を下回る現象)が起きてしまった。

–なぜ経営陣はDG株を売却しなかったのか?

 DG株を売ってDGがローランドの連結決算から外れると、親会社の業績、つまり電子楽器部門の業績の悪さが際立ってしまうからだろう。野村證券がDG株を売るなというアドバイスをしたことも影響している。それどころか逆に、何年か前、野村證券はDGをバイアウト(=梯氏もしくはローランドが全株を買い取って非公開化すること)してはどうかなどという提案までしてきた。苦労して上場したのに、非公開化の必要がないDGの株を、なぜプレミアムまで付けて買わなければいけないのか。シーガイアやハウステンボスにやらせたことを、ローランドにもやらせようとするのはとんでもない。

【以下、筆者解説】

 ローランドは今回、MBOと同時に約4割を保有するDG株の半数をDG自身に自己株取得させる。その代金がおよそ130億円で、実質無借金のDGは、この自己株取得のために必要な資金130億円を銀行借入で調達する。貸し手はローランドのTOB資金325億円を融資するりそな銀行である。りそな銀行はローランドのMBOと、DGの自己株取得で総額455億円の融資案件を獲得したことになる。

 ローランドにはDG株の売却代金130億円が入るが、この資金は電子楽器事業の立て直しに投じられることはなく、全額TOB資金325億円の借入の弁済に充てられる。つまり、ローランドのTOBに必要な資金417億円のうち、130億円は実質的にDGが負担するスキームだ。

【以下、梯氏との一問一答】

●着々と進む会社側の包囲網

–ということは、かねてから梯さんが主張してきたことを、経営陣は梯さんにとって最も不本意なかたちで実現しようとしていることになるが、財団の理事会としてはすでに売却に応じる機関決定をしているのでは?

 財団として売却に応じるかどうかの機関決定には、理事会決議を経た上で、評議員会の承認も必要だ。5月1日の会合では形式的には過半数で決議しているが、その決議は無効だ。そもそも理事会の招集は理事長(梯氏)が行うものと定款で定めてあるにもかかわらず、ローランドから出向している専務理事が勝手に招集した。この専務理事以外にも、りそなホールディングスの元会長が議事に参加している。

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