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ローランド、創業者が突然のMBOに猛反発「ファンドによる乗っ取り」株主に不利益も

文=伊藤歩/金融ジャーナリスト
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–5月1日の会合は理事会としての要件を満たしておらず、しかも利益相反が疑われる可能性がある理事が議決に加わったということか?

 5月1日の会合における議事は、専務理事らが積極的に主導した。本来議事に参加すべきではない理事が主導するのはフェアじゃない。6月4日の理事会でも議事は紛糾した。一部に6月4日の理事会であらためて応募を決議したかのような報道があったが、それは違う。

–すでにかなり以前に経営への関与から身を引き、個人としての保有株も昨年大半を売却し、ローランドとの関係が切れている。それなのに筆頭株主の財団トップとしては抵抗するということに矛盾はないのか?

 昨年株を売ったのは、ここ数年のローランドの経営方針に、とことん失望したからだ。最も失望しているのは、海外売り上げが8割を超えているのに、大切な海外拠点網を次々と壊し、海外におけるローランドの信用を毀損させている点だ。

 例えば、昨年11月7日にローランドはイタリア現地法人の清算を発表しているが、同法人の代表に清算決定の事実と解雇を言い渡したのは発表当日だ。こんなことをしていたら、長年かけて築いた海外での信用は瞬く間に失墜してしまう。失望させられたのはこの時が初めてではないが、何かあっても私は役職から退いているがゆえに経営陣にモノを言う場がなく、ただ見ているしかなかった。

 私は01年に代表を降りる際、ほぼすべての役職も同時に降りてしまった。今となっては、それは失敗だったと思っている。会社を見限ったのは事実だが、自分が育てた会社にここまでされたら黙ってはいられない。社員持株会も、MBOに賛成の人については野村證券が取りまとめるのに、反対の人は別途野村證券に口座をつくり、そこへ株式を移し、持株会を退会せよと言っている。ローランド社内の優秀な人材のためにも、現経営陣がやっていることがおかしいと言えるのは、創業者である自分しかいない。6月27日の定時株主総会では、言うべきことを存分に言わせてもらう。

【以下、筆者解説】

●DG株売却益はTAIYOが独占

 現在、ローランドのTOBと同時進行で、DGの自己株取得TOBも実施されている。発行済みの2割もの自己株取得になるので、ローランド以外の株主にも売却の機会を与えなければならず、TOBのかたちをとっているからだ。

 このDGの自己株TOBは、ローランドのTOBが下限申込数に達せず白紙に戻った場合も無効にはならない。つまり、DGはローランドのTOBの成否にかかわらず、15年3月期第1四半期を最後に、ローランドの連結決算から外れる。14年3月期のローランドの連結営業利益は約78億円だが、このうち61億円はDGの稼ぎだ。

 ローランドの15年3月期の予想営業利益は、上期は前年比13%減、下期は42.3%減と、DGが連結から外れる影響をしっかり織り込んでいるが、DG株の売却益を特別利益に計上するので、通期の一株当たり当期純利益は315円と、14年3月期の実に15.5倍。だが、会社側の思惑通り順当にいけば、ローランド株は9月には上場廃止になり、この利益はTAIYOが独占する。

 TOB価格の1875円は、予想一株あたり当期純利益315円の5.9倍でしかない。株価が一株当たり当期純利益の何倍かを示すPERは、6月5日終値ベースで東証一部平均が15.4倍。315円を15倍したら4725円だ。

 ローランドのTOBは発行済みの66.6%以上の応募があれば成立し、そうなればTOB価格に不満を持つ株主、もしくは非公開化そのものに反対でTOBに応募しなかった株主も、TOB価格と同額の1株当たり1875円で強制的に保有株を買い取られ、いずれにしてもTAIYO以外の株主は、誰一人としてDG株売却益の恩恵にはあずかれない。

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