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ローランド、創業者が突然のMBOに猛反発「ファンドによる乗っ取り」株主に不利益も

文=伊藤歩/金融ジャーナリスト
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TOB応募しか道がない巧妙なスキーム

 それではTOBへの応募が66.6%に達せず、TOBが成立しなかったらどうなるか。それでもDG株の売却益はローランドに入り、一株当たり当期純利益315円も同じ。だが、会社は非公開化を理由に15年3月期は無配を宣言しているが、非公開化が白紙に戻っても配当が実施される保証はない。

 株価は先へ先へと業績予想を織り込んでいく。現在ローランドの株価がTOB価格の1875円すれすれのところで高止まりしているのは、同額で全株をローランドに買ってもらえるからだ。TOB後、DGが連結から外れた状態での業績にふさわしい水準まで株価が下落することは当然に予想される。TOBが成立すれば、TOB終了後に株価が急落しても、既存株主は1875円で保有株を買ってもらえるが、不成立なら株価下落のツケはすべて既存株主に回る。

 今回のMBOは、DG株の売却がセットになっている点が核心であり、既存株主が経済合理性に基づいて行動しようとすれば、TOBに応募するか、さもなければDG株の売却を阻止するかしか道がない。だが、現行の会社法の下では後者のハードルはあまりにも高く、事実上前者の道しかない。

当然、TOBが成立しなければTAIYOも保有する9%強のローランド株暴落というダメージは受ける。だが、ひとたびTOBが成立すれば、今回のDG株売却益を独り占めできるだけでなく、残る20%のDG株をいずれ再びDGに取得させ、再度巨額の売却益を得る機会も手にできる。

 TAIYOは手にした巨額の利益を、果たして電子楽器事業の再生に投資するだろうか? TOBのために背負った借金の返済のみに使われておしまい、ということはないのだろうか?

 MBO後も経営にとどまる現経営陣が、06年にMBOで上場廃止した外食チェーン、すかいらーくの横川竟氏のように、短期間で社長を解任されることなく、資産を散逸させることもなく、数年後には見事に再生を果たすことができるのか。想定される懸念事項がすべて杞憂であったと、数年後に思わせてくれることを今はただ願うばかりだ。
(文=伊藤歩/金融ジャーナリスト)

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