(5)再発したケース
「診断給付金と手術給付金は一度限りという条件」の保険商品の場合、再発したがんに対しては保険金が出ない。
「診断給付金については、2年に1度を上限とする商品も多いですが、ある外資系生保のがん保険では、初回の診断から5年以上経過した場合という条件になっている」(医療コンサルタント)
●がん保険は保険会社が儲かる仕組み
あの手この手でカネを支払わずに済まそうとする保険会社。がん保険でトクをするのは保険会社にほかならない。しかし、「2人に1人ががんになる」時代、万一の時に備えて、がん保険に入っておきたいというのも人情だ。
ただ、この「2人に1人ががんになる」といわれているのも、保険会社側の都合のいい数字のトリックだと専門家はいう。がん罹患リスクを年代別に見てみると、「たとえば50歳の男性が10年後までにがんにかかる確率は5%。60歳の男性でも、10年後までにがんになる確率は15%。つまり現役世代だと、がん保険は90%ほどの確率で出番がない」(専門家)。
がん罹患リスクが高まるのは高齢になってからの話。「リスクを恐れて40歳からがん保険に加入していても、がんになるまでの40年間に払い続ける掛け金はほぼすべてが保険会社の儲けになっていると言っても過言ではない」(同記事)
「代理店としても『がんになりそうもない、健康な顧客を積極的に集める』というのは暗黙の了解になっています」と保険代理店関係者。記事は「いざ」という時に裏切るがん保険よりも、ある程度の貯金が大事と、まとめている。
また、コラム紹介サイト「マネーの達人」の6月3日記事『保険のプロが入るコスパが高い「がん保険」、とうとう販売終了へ…』(釜口博)によれば、インターネットや雑誌などで「ファイナンシャルプランナーがすすめるがん保険」「保険のプロが入る保険!」として常に上位にランクインするがん保険「AIG富士生命 がんベスト・ゴールド」は、人気が集まったために、6月いっぱいで販売終了となるというのだ。
「7月以降は『がんベスト・ゴールドアルファ』という商品名になり内容も改定。先進医療特約の上限金額が2000万円までに改定される。ところが、保険料は1.5~2倍に跳ね上がることに」「顧客にとってメリットのある保険商品は、必ずと言っていいほど『販売停止』になる傾向がある」(同記事より)が、「AIG富士生命 がんベスト・ゴールド」も、その例に漏れずということのようだ。
(文=松井克明/CFP)