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イケア、年間来客数2000万人の秘密 地域特性に合わせた魅力ある店舗づくりの仕組み

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 また、イケアでは社員もパート従業員も一様にコワーカーと呼称するが、彼らにも大きな裁量を委ねている。

 例えば福岡新宮店では、コワーカーが店舗周辺の家を訪問して間取りなどを調べた。その結果、首都圏や近畿圏に比べて部屋数が多く、小さな部屋のある家も目立ったという。このような調査結果を店内の商品構成に反映している。

 モデルルームと呼ぶ空間も変わった。以前は「55平方メートル」などと広さを記した展示スペースの中に家具が配置されていたが、最新の立川店では「2LDK 55平方メートル 持ち家 家族との暮らし」「7歳の娘がいる3人家族」など具体的な表記をし、ベッドルームの横に子ども向けデスクや回転チェアを置くなど、お客がよりイメージしやすいようにしている。

 別の一角では物干し用ハンガーに子供用靴下を挟むなど、単に商品を配置するだけでなく、生活実感に訴えている。こうしたさまざまな提案はコワーカーによるものだ。

 低価格による訴求も欠かさない。例えば「この部屋の家具、全部でなんと6万2000円以下」と札を掲げたスペースでは、2人掛け用ソファ(2万469円)、テーブル(8219円)、回転チェア(7190円)などが配置してあり、来店客からは「安い」という声が上がっていた。

 イケアでは、それぞれの家具に名前がついている。例えば、本棚の「ビリー」、ひじかけイスの「ポエング」は世界各地でロングセラー商品となっている。ソファには都市、本棚には男の子、カーテンには女の子、布団カバーには橋の名前がつけられているという。

●フードエリアも集客装置の1つ

 店内の一角にある「イケアレストラン」も人気で、「来店客の3割は飲食だけ」ともいわれるほどだ。ここではスウェーデン料理も提供される。その代表がスウェーデン・ミートボールだ。通常は5個で359円、10個で616円。ジャムとポテトが添えられる。カレーライスは249円とリーズナブルだ。家具と同じように低価格で提供するのは「腹が減っては買い物ができない」という企業方針による。設置したキッカケは、かつて欧州の店舗で昼食時に来店客が一斉に帰ってしまい、店内がガラガラになった教訓からだという。

 もう1つの名物が「ビストロ」と呼ぶエリアで販売されているホットドッグ。1995年にスウェーデン国内の店舗において、1本5クローネ(約85円)で販売を始めて以来の伝統商品で、日本国内では100円、フリードリンク付きは150円だ。イケアのホットドッグは一商品の枠を超えて、お客を引き寄せる代名詞となっている。

 こうして紹介すると前途洋々に思えるイケアだが、日本国内での将来性は必ずしも視界良好とはいえない。次回は、その部分を検証する。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト)

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント) 
1962年生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。
セシルマクビー 感性の方程式』(日本実業出版社)、『「解」は己の中にあり』(講談社)ほか、著書多数。
E-Mail:takai.n.k2@gmail.com

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