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銀行の恐ろしい素顔 コネ融資、接待漬け、倒産目前の社長宅に深夜押しかけ

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 コネを使いなさい。銀行の支店長が親戚にいないか。親兄弟の知り合いや、学校の先輩にいないか探して、その人に取り入るのだ。都市銀行の支店長クラスならば、1000万円や2000万円ぐらいのカネ、その気になれば担保なしに貸せる。なにせ1億円以内の融資までは信用で貸せるだけの権限を持っているんだから」

「銀行では、やはり支店長に直結したコネがあれば融資はかなり有利である。ただし、あくまでそれは支店長の権限内でのこと。本当に稟議しなければならない案件では、そんなコネもあまり意味がない。入院したりあるいは不都合なことをモミ消したりするのに、よく政治家を使う人がいるが、銀行でカネを借りるのに政治家のコネを使ったというのは聞いたことがないし、効果のほども期待できない」

「銀行取引においても、他の会社との付き合い同様、取引の基本は人と人とのコミュニケーションなのだ。特に中小企業の場合、銀行担当者と経理担当者という『事務レベル』ではなく、社長と支店長というトップレベルでの付き合いが融資を大きく左右する」

「休日に支店長をゴルフに招待したりする接待は効果的である。ちなみに、大口取引先などは平然と平日ゴルフに招待しているくらいなのだから、積極的に誘っても大丈夫。支店長は接待慣れしている」

「銀行員に対する接待はどのように行われているのだろうか。一番多いのは銀行終業後に飲食を共にする接待。食事をして二次会でカラオケというパターンが多い。人数にもよるが、接待する人数は二人から三人で、支店長と担当役席者中心の招待が一般的。ちょっと形式張った接待だとお土産がつく。そんな程度である」

 以上のように、融資を受けるための裏技満載の一冊になっている。

●サラ金以下の銀行の取り立て

 なお、『借りたいとき~』の中の「債権回収は修羅場だ!」という項目には、旧三菱銀行を辞めたきっかけとされる取引先企業の倒産トラブルが書かれている。

 ある日、第1回目の不渡りを出して、事実上の倒産目前となった融資先に、不渡りを知った上司たちは債権保全のために小切手や受取手形を確保した上、不渡りに対する請求書を作成、社長の自宅に深夜押しかけて、心臓病を患う社長に返済を約束させる書類へ無理やりハンコを押させたのだ。

「このときの支店長の行動、そして、深夜印鑑をもらいに押し掛ける副支店長――。こんなことが許されていいのだろうか? 人権を踏みにじるような上司たちの行動は、バンカーどころかサラ金以下である。普段はバカ丁寧な応対を繰り返していても、これが銀行員の本当の姿なのだ」

「ヒューマンなバンカーなど銀行には不要である。だから、ヒューマンなバンカーになろうとした私は、これを機会に銀行というものを自分がまったく誤解していたことに気がついたのだった」

 その後、社長は銀行相手に裁判を起こし、池井戸氏も退職後、社長側の証人として裁判に立ったが、社長側は敗訴。「この理不尽なことを、このまま埋もれさせないためにも、いつか、このことを何らかの形で書くと、社長に約束したんです」(「人事マネジメント」)

 この事件を題材に書かれたのが江戸川乱歩賞(98年)受賞作の『果つる底なき』(講談社)なのだ。当時から池井戸氏の最近の数々のヒット作につながるヒューマニズムを感じさせるエピソードではないか。
(文=松井克明/CFP)

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