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「大塚将司『反メディア的!その記事、ダマされていませんか?』」第24回

新成長戦略、なぜ要の産業育成策なく骨抜きに?防衛・原発産業、輸出の担い手になるか

文=大塚将司/作家・経済評論家
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●欧米企業の牙城に切り込む産業育成策

 こうした米国に対抗するのに、輸出目標を掲げるのが農業だけでは心許ない。

 経済学者の中には「産業政策を採用しても、どの分野が成長できるかは事後的にしかわからない場合が多い」と指摘する向きがあるが、果たしてそうだろうか? 例えば、今後も高い成長の持続が確実な航空機産業や医薬品産業のように、欧米企業の牙城に切り込み、パイを奪う産業育成策を打ち出すべきではないか。

 安倍政権も新戦略には入れていないが、武器輸出三原則の緩和で防衛産業が活気づいており、原発輸出でもトップセールス展開しているといった反論があるかもしれない。

 たしかに、防衛産業や原子力関連産業が新たな輸出の担い手になる可能性は秘めている。しかし、武器も原発も国内世論が二分され激しく対立するセンシティブな産業だ。従って、新戦略に盛り込めないことは当然で、仮にこの2分野の輸出が拡大し、成長をけん引することになっても素直に喜ぶ国民は多くないだろう。

 安倍政権が本気で日本を成長軌道に乗せたいのであれば、本丸に築く天守閣の絵として、国内世論の支持を得られ、かつ、市場の大きい産業を明示した上で、築城にかかるべきなのだ。国を挙げてそうしたオーソドックスな産業を育成することには欧米からの反発が予想されるが、それを恐れてためらうのであれば、アベノミクスも風前のともしびといわざるを得ない。
(文=大塚将司/作家・経済評論家)

●大塚将司(おおつかしょうじ) 作家・経済評論家。著書に『流転の果て‐ニッポン金融盛衰記85→98』上下2巻など

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