流通業界筋は「店舗数拡大による成長モデルは限界。明確な差別化が重要になっている」と指摘する。大手3社の出店加速で、好立地争奪戦は激しさを増す一方。さらに異業態からの攻勢も激しい。例えば4月からアマゾンが自社で酒類の販売を始めるなど、ネット通販系が食品販売を拡大している。

 そんな中、ファミマは規模で圧倒的に優位なセブンと戦わねばならず、差別化では業態革新力に勝るローソンと戦わねばならず、品揃えでは絶対太刀打ちできないネット通販系とも戦わなければならない。「そこでたどり着いた出店拡大策が異業種提携出店」(業界筋)というわけだ。これに関しては、ファミマも「単独で出店が難しい立地でも、異業種との提携なら出店できるし、提携先の既存客も取り込める」と説明している。

 しかし、現状ではこの異業種提携出店戦略が、同社もくろみ見通りの威力を発揮しているかどうかは疑わしい。セブンは今年度、1万6319店に上る国内既存店舗数の約1割に相当する1600店の新規出店計画を掲げている。前年度も1500店の計画を掲げ、実際は計画を上回る1579店を出店した。セブンの出店ペースは今のところ加速する一方で、「2~3年以内に、2万店に到達する」(業界筋)とみられている。

 一方、前年度にセブンと同数の1500店の出店計画を掲げたファミマは、1355店にとどまった。そのうち、異業種提携出店は13社402店で、「業界3位の店舗数ではコンビニとしての価値がない」(中山社長)の思いとは裏腹に、セブンとの差は広がる一方だ。1店舗当たり平均日販額も苦しい。セブンの66万4000円、ローソンの54万2000円に対して、同社は52万1000円にとどまっている。

●崩れる「セブン対その他」の構図

 業界筋は「今年に入り、ファミマが異業種提携出店を加速化したことにより、御三家の出店戦略が『三社三様』にくっきりと分かれ、構図的には興味深い」という。
セブンは大量出店によるスケールメリットと、これを生かしたPB(自主企画商品)充実による商品力で勝負。ローソンは消費者ニーズに合わせた業態革新力で勝負。ファミマは異業種提携でセブンと競合しない立地への大量出店で勝負と、それぞれの事業戦略が明確化してきた。これにより、競争の構図が従来の「セブン対その他」の単一モデルからさまざまな選択肢があるモデルに変化、業界全体でみれば広範な「24時間サービス」ニーズに対応できる態勢が整ってきた。それだけコンビニが、より社会インフラ化する可能性が高まったというわけだ。

 しかし、ファミマの異業種提携戦略が同社の狙い通り新しい成長軸になるかどうかは、今のところ予測不可能だ。「成長の前提になるのは、あくまでもセブンやローソンに引けを取らない商品開発力と消費者が魅力と感じる品揃え、そして既存客を逃さない店舗オペレーション」(証券アナリスト)。ファミマの戦略が奏功し、セブンとローソンの2強という構図を崩すことができるのか、今後の動向から目が離せない。
(文=福井晋/フリーライター)

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