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すき家元店員、過酷業務の実態告白「鍋定食登場で地獄、退職続出、ワンオペで全部1人」

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト
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 その要因のひとつが、店内を1人で切り盛りする「ワンオペ(ワンオペレーション)」だ。別の元店員が、その実態を明かす。

「注文を受けるのも、全メニューの仕込み・調理も、代金を受け取り釣りを返すのも、食器の後片付けと食器洗い(すき家に食洗機はなく、手洗い)も、客席と便所の掃除も、その他もろもろの雑用も、何もかも全部1人で行わなければならない。精算に客が並んでほかの処理が後回しになると、客から罵声が飛んでくる」

 吉野家が社員店長とアルバイト店員の最低2人で店舗運営しているのと比べると、そのずさんな店舗オペレーションの実態が容易に推察できる。

 さらに深夜のすき家は、食い逃げ客や強盗のターゲットにもなっている。ワンオペなので食い逃げをされても追いかけられず、強盗に入られても防ぎようがない。警察庁の統計によれば、牛丼店を狙った全国の強盗事件は、未遂を含め2012年に32件、13年に34件発生しているが、このうちすき家の被害が85%も占めている。このため、ゼンショーHDは警察から再三にわたって深夜のワンオペをやめるように警告されているが、一向に応じる気配はない。

 外食業界関係者は「ゼンショーHDの小川賢太郎社長は、深夜に人を増やす人件費のほうが強盗の被害額よりも高いと考えているようだ」と苦笑する。

●ワンオペをやめるつもりはない?

 こうしたすき家とゼンショーHDの苦境について、経営コンサルタントは「急成長のツケが回ってきた。外食産業は現場が勝負。会社が利益を追求し、効率優先でやろうとすれば現場が疲弊するのは当然。早急に労働条件を改善しなければ、すき家で働こうとする人は減る一方で、窮地に陥るだろう」と分析する。

 そんな懸念を尻目に、業界関係者は「小川社長は、自ら編み出し、『究極の効率運営』と自賛しているワンオペをやめる考えはないだろう」といい、その理由を次のように語る。

「そもそも小川社長は『人手不足は一時的な現象』との認識で、一時閉店に追い込まれた店舗の大部分が首都圏で、店員は学生アルバイトが大半だが、卒業で学生アルバイトが辞める時期に重なったためだと考えている。新入生も近年の景気回復で、すき家以外にアルバイト先はいくらでもある。今後は首都圏店舗での採用を、学生アルバイトからフリーターなどに切り替えていくだろう」

 ちなみに今後の対応について同社広報室は、当サイトの取材に対し「東京・品川(同社所在地)で全国約2000店舗をオペレーションする現在の体制を、エリアごとに7社に分社化することにより、経営トップと現場の距離を近くするなどの取り組みを行っていきます」と回答している。今後、果たしてすき家の労働環境が改善される日はくるのか、しばらくは人々の関心を集めそうだ。
(文=田沢良彦/経済ジャーナリスト)

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