そこにインターネット時代がやって来ました。ネットがだんだん力を持ってくると、地方でしか話せない話をしたところでネットに上がってしまう。そうなれば、また生き残る方法を考えなきゃいけない。そんなふうに、僕はこの20年くらい常に試行錯誤を続けてきました。

●芸能報道は「プロレス」でいい?

–芸能報道全般に対して、ジャーナリズムに反しているという批判も聞かれますが、そのような批判についてはどのように思われますか?

井上 芸能報道はかくあるべきとか、ジャーナリズムの原点に反していると言う人もいますが、僕はジャーナリズムだなんてまったく思っていないし、記者会見なんかも「プロレス」でいいと思っています。例えば芸能人の離婚会見があったとして、15分や20分くらいで、第三者の僕らが離婚の理由をすべて理解できるわけがない。「なぜ浮気したんですか?」などと吊るし上げるのはナンセンスです。家で「物扱い」されている男性芸能人が浮気したとして、「果たして彼が100%悪いか?」と僕は思うのです。芸能人だからこそ、自分の子供や子供の友達に聞かせられないとか、いろんなことがあるから、僕は「プロレス」でいいと思っています。結局、芸能って、いい意味で「演じるもの」なんですよ。

–つまり、芸能報道ではさじ加減も必要だということでしょうか?

井上 ええ。芸能人とプライベートで食事に行ったりしていれば、何かあった時は「さじ加減」ができるのです。「ぶっちゃけ、どうなの?」「どこまで、しゃべれるの?」と。「申し訳ないけどゼロはやめようよ」「5~6は言ってほしい」などと交渉もできる。以前ある番組で共演していた芸能人の別居報道が、生放送当日の朝に出たことがあるのですが、その所属事務所の人が「これはナーバスな問題なので、触らないでいただけますか」と言いました。僕は「いや、ちょっと待って。生放送でこういう番組に出るということは、そういうリスクがあるということを承知の上ですよね?番組内で触れないというのは、本人が認めたことになりますよ。それでもいいんですか?」という話をしたんです。そうしたら、本人が「いや、しゃべります」と言った。「どこまで話せるの?」と聞いたら、「別居している事実は認めます」と。

 これは「プロレス」なんですけど「やらせ」ではない。ガチンコでガンガン追及すればいいというわけではない。僕はいろいろなバラエティー番組に出ていますが、「臭いものにふた」というのは、今のテレビ局には多い。スタッフが「もう、もめそうだからやめましょうよ」というのを、僕が「本人と事務所を口説くからやろう」と説得することもありますが、ゼロにするのが僕は嫌なんです。

 芸能リポーターって、いわば芸能人の寄生虫なんですよ(笑)。芸能人がいなかったら、芸能リポーターという職業は成立しない。スターが多ければ多いほど、芸能リポーターという職業は成立するのです。だから、僕らはタレントを潰しても意味はなく、むしろタレントを育てたほうがいいんですよ。でも、先日ある芸能事務所の社長に、「最近、リポーターは芸能人に優しすぎる。井上さんたちが優しすぎると、芸能人が育たない。たまには修羅場を乗り越えさせないと、全部事務所がやってくれると思って育たない」と。これも一理あるんです。

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