グーグル勃興前夜の雰囲気

 ユーザー数が急成長しているのに収益化のモデルが定まらず売り上げがほぼゼロの現在のニュースアプリをみていると、グーグルが02年に検索連動型広告を始める前夜のような雰囲気を感じる。当時のグーグルは、アクセス数は急成長しているものの売り上げが立っておらず、検索にふさわしいビジネスモデルを模索していた。同社はバナー広告を導入すればすぐ黒字化するくらい理解していたが、それでは検索サイトとしての力を最大限収益化できないと鋭く感じていたのだ。

 模索の末に始めた検索連動型広告は、そもそも収益化が難しいといわれていたインターネットビジネスにおいて、莫大な利益をもたらすビジネスモデルとなった。そこでは、検索される言葉ごとに、ネット上のリアルタイムの入札によって広告単価が決まっていく。消費者金融や保険などに関する「ビッグワード」では、1クリックにつき1000円以上の高値がついたりする。それは、広告主や広告内容に関わらず1ページビュー1円以下の従来のバナー広告に比べて、飛躍的な収益を生んだ。

 つまり、検索連動型広告のビジネスモデルの収益性の素晴らしさは、第一に広告単価が均一でなく、言葉の数というほぼ無限の数の単価の多様性がある。従って第二に、広告主側の利益の大きさに応じて広告費を吊り上げることができ、広告収入の最大化ができる。第三に、ネットの入札で受注するため、広告営業を行う費用、すなわち広告代理店に支払う多額の手数料を最小化できるという点にある。

 ニュースアプリの領域においては、こうした検索連動型広告が成立した経緯を参考にしながら、ニュースアプリにふさわしい収益モデルを開発した人が、第二のグーグルともいえる成功を成し遂げるのだろう。そしてその収益モデルは、検索連動型広告のように、広告単価の多様性と広告営業コストの最小化を特徴とするものになるように思われる。

 それに加え、モバイルの特徴であるユーザーの位置情報を生かし、最近注目されているO2O(Online to Offline:ネットとリアルの融合)や、クーポンなどのリアルとの連携を行っている可能性もある。また、検索連動型広告の単なるものまねで広告する言葉のオンライン入札では物足りないと感じる開発者が、ニュースアプリの特徴を踏まえ、ユーザーにとってセレンディピティ(偶然の出会い)の楽しみを阻害しないモデルを開発できれば、さらに有望といえるだろう。

 第二のグーグルともいわれるニュースアプリのスター企業が、日本から出てくることを祈っている。
(文=小林敬幸)

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