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好調・楽天の死角、本当の脅威とは? セブンとアマゾンの挟撃、新複合小売の時代突入

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●後門のアマゾン

 後門の狼は、アマゾンである。13年のアマゾンの日本における年間売上高は約7600億円と推定される。アマゾンは、自ら在庫リスクを持つ直販ビジネスと、「マーケットプレイス」と呼ばれる売り手と買い手をマッチングさせるビジネスの2つのモデルを持っている。前者の取扱商品は約1億品目、後者の出店数は約16万以上とみられる。量だけで比較すれば、楽天の約4.1万弱の出店者数と比較にならない。

 さらにアマゾンは、品揃えでは免許規制の壁を越えて酒類販売への参入や中古車販売にも乗り出している。さらに、アマゾンの強みは、独自のロボット開発などで先進的な物流システムを持つ巨大な倉庫を活用し、マーケットプレイスの出店者にもこの機能を提供するなど、即日翌日配送サービスを拡充していることである。そして、品揃えの広さと出店者の多さが集客力を高め、集客の多さがさらに品揃えの拡充と出店者の増加につながるという善循環の流れが生まれていることである。

 楽天との比較のために、アマゾンの売り上げを流通総額に換算すると、楽天を若干下回る1.5兆円程度と推定できる。しかし、1日の訪問者数は約353万人とみられ、楽天を約100万人上回っている。楽天も、在庫リスクを持たないビジネスから物流システムへの投資を進めているが、アマゾンの物流配送能力に追いつく段階にはない。集客数、品揃え、出店数などでどのようにアマゾンに競り勝っていくのか、今後、楽天の力が試されることになる。

●楽天は新しいビジネスモデルと経済圏をつくれるか

 挟撃される楽天の弱みは、これまでの成長を支えてきたビジネスモデルにある。

 楽天のビジネスモデルは、ネット上に集客サイトをつくり、自社では在庫リスクを持たず、出店者を募ることによってモールを形成し、場所代と販売支援料を得て、物流は出店者に委ねるビジネスモデルである。このビジネスモデルは、もはや成熟しており、アマゾンのように1億品目の品揃えや16万店の出店を提供できるモデルではない。市場のロングテール化に対応するには不十分である。

 また、一方的に小売のネット化が進む段階から、さらに進んだリアルとネットの小売が融合する時代において、ネットでは強い楽天もリアル小売との協業や物流への取り組みは緒に就いたばかりである。

 このような中で楽天は、新しいビジネス「エコシステム」への進化を図ろうとしている。楽天には、大きく2つの事業がある、ひとつは、売り上げの57%を占める楽天市場などのインターネットサービスであり、もうひとつは37%のネット金融サービスである。営業利益率は、前者がおよそ15%であるのに対し後者は20%を超え、楽天の収益源は金融サービスである。楽天は、この金融サービスとネットショッピングの2つで消費者の入口接点を拡大し、両者の利便性を追求する。それによって、より利便性の高いショッピングと決済などの金融サービスをシームレスに提供し、ひとつの経済圏(エコシステム)を形成しようとしている。さらに、このエコシステムを、大丸などのリアル小売やサービス業との共通ポイントの導入によって拡大しようとしている。

 これに対し、ヤフーとソフトバンク連合は、出店料無料化によってユーザを集客し、広告や通信ビジネスなどの他のビジネスで収益を取り込むエコビジネスを想定している。出店無料化ができるのは、無料化による出店数の拡大が広告収入を増やし、ソフトバンクの通信ビジネスへ誘導できるからである。楽天の出店料やロイヤリティは売り上げの数パーセントである。わずかのように見えるが、流通総額と楽天の売り上げから割り出すと、売り上げ増を支援することによって出店者から得ている総手数料の比率は売り上げの約18%に上る。

 ヤフーが出店無料化で攻勢に出る理由はここにあるが、実はヤフーは、流通総額で楽天に勝とうとしているのではない。楽天とはまったく違うビジネスモデルを想定しているため、楽天にとって本当の脅威ではない。

 楽天のエコシステムへの進化に対抗し、リアル小売から反撃に出ているのは、セブンのオムニチャネル化である。1日1600万人という集客を武器に攻勢に出ようとしているセブン-イレブンには、アマゾンに勝る物流システムが整備されている。楽天と同じネットサイドでは、アマゾンが桁外れの品揃えと出店数、そしてグローバルな巨大物流システムで追撃している。

 こうした反撃や追撃に、楽天はどのように対応するのか。楽天らしいリアルとネットの融合モデルによる経済圏の創造が期待される。
(文=松田久一/JMR生活総合研究所代表

JMR生活総合研究所
 生活者の総合研究に基づいて、新しい事実を発見し、その事実から戦略を組み立て、経験を生かしたコンサルティングを通じて、クライアントの問題解決を行う。1991年に設立してから今日までの約20年の間に、年間平均250、延べ5000のテーマに取り組んできた実績を持つ。主たる領域は、食品、飲料・酒、化粧品・日用雑貨、輸送機器、家電・情報通信、流通など生活者と接点を持つ業界。日本を代表する企業のマーケティング課題のソリューション(解決)に取り組んでいる。

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