–つまり、ネット上などでやらせを批判するほうが間違っているということでしょうか?

長谷川 その通りです。さらに一歩進んで「そういった批判を誰がしているのか?」というのを、もっと分析する必要があります。「ネットリテラシー」の話になるのですが、数カ月前にテレビ神奈川で1つの問題が起きたのですね。子供向けの番組の中で、歌のお姉さんの着ていた服に小さな文字で性的暴力を意味する言葉が書いてあったのです。確かに、番組の性格からして適切でないといわれれば、適切ではないですが、それがネット上で拡散していきました。同局には批判が殺到して、最終的に謝罪に追い込まれました。

 この件について私は、実際に問題を提起された人や、かなり深く関係する当事者たちに取材をしましたが、100件以上寄せられた批判の80件以上が、北海道や九州など神奈川県以外から寄せられているのです。同局の番組は神奈川県でしか放送されていない。つまり、実際に番組を見ていない人が批判しているのであり、それは批判ではなくただの「雑音」「トイレの落書き」です。そういうのは「放っておけばいい」。ただの「落書き」を「批判」という言葉に置き換えるから話がこじれるのです。

『ほこ×たて』のやらせを批判している人の大半は、フジのことを批判したいだけで、実生活の不満のはけ口としてネットに書いているだけです。神奈川テレビに批判を送る他県の人と同じなのです。つまり、相手にする必要のない人たちを相手しているという点でも、フジの『ほこ×たて』打ち切りという判断は間違っていたと断言できます。

●情報番組で横行するステマ

–本書では、情報番組はほとんどステマ【編註:ステルスマーケティング。主に、消費者に広告だと気づかれないように広告を行うこと】だと書かれていますが、具体的にはどのような意味でしょうか?

長谷川 映画会社や多くの芸能事務所からスタッフがいい接待を受けて、「あご足」と言うのですが、お金を出してもらった上で取り上げている情報がほとんどだ、という意味ですね。情報番組を見ていても取り上げるテーマについて悪いことは言わないでしょう? 当然です。お金をもらってるので、つまらない映画も面白いと言わなきゃいけないし、スイーツを食べたらすべてを美味しいと言わないといけないのです。半数以上は美味しくないわけですよ。でも、言わなきゃいけない。これは、以前、社会問題となった芸能人のステマと同じです。

–なぜ、情報番組は、そのような事態になるのでしょうか?

長谷川 情報番組を制作する情報局は、報道局と異なり記者クラブに属しておらず、例えばフジ社内では報道局からは「ワイドさん」という蔑称で呼ばれています。なので、情報局が報道映像を使用したい時には、報道局に許可申請を出して頭を下げなければならないという馬鹿げた構造があるのです。同じ社内なのに、です。でも、そうやって映像をいただいていても、それだけで1~2時間の番組をつくれるわけがないので、ステマで時間をつながないと、ネタがもたないのです。

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